南北米大陸を跨ぐCOPANI=あなたの国の日系社会教えて=(9)パラグアイ、移民史伝える資料館

COPANI閉幕後、アスンシオン市内にあるパラグアイ日系・日本人会連合会会館の移住資料館を訪れた。同資料館は現在開設準備中だ。会館建屋は元々「神内日系社会福祉センター」という福祉施設だったため、階段の段差が低いのが印象的だ。1階に協会事務所があり、3階に資料館がある。
資料館には戦前に開設された日本人移住地ラ・コルメナを始めとする移住地から提供された雑誌や教科書、カメラ、やかん、葉巻きセット、開拓初期や現在栽培されている作物、畑地の写真パネルなどが展示されていた。ブラジルの邦字紙『パウリスタ新聞』を綴じた物もあり、資料館担当者の原本麗菜さんは「ブラジル移民の方が持ってきてくださった資料も沢山展示してます」と言う。

連合会には森林を開拓して作られた他の移住地のような歴史的逸話はないが、各地域から上京してきた日系人によって結成されたという特徴的な成り立ちがあり、パラグアイ日系社会の中心地として、戦前から戦後まで様々な移住関連資料が集まる場所、パラグアイ日系社会を学ぶ場となっている。
連合会資料館設立企画は、1996年のパラグアイ移住六十周年時からあったが、適した場所がないことなどを理由に実現しなかった。だが、2021年に連合会が神内日系社会福祉センターに引っ越したのを機に資料館設立企画を再始動させた。

パラグアイ日系・日本人会連合会事務局の菊池明雄事務局長は「資料館はラ・コルメナやチャベス、ラパス、ピラポ、イグアスなどパラグアイ移住地の歩みを学べる場所にしたいと思っています」と話す。資料館は開設準備中だが、事前予約(電話021・509・503/サイトhttps://www.rengoukai.org.py/ja/)すれば訪問可能だという。
パラグアイ移民に関する資料館はラパス日本人会、ピラポ日本人会、イグアス日本人会にもそれぞれあり、開拓初期の暮らしや大森林の開拓に挑んだ日本人移住者の活躍ぶりを伝える展示をしているという。エンカルナシオン日本人会には「日系アイデンティティセンター」があり、戦後日本人移住者の足跡を映像などで学べるようになっている。(終わり、島田莉奈記者)