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ハダジ財相=ルーラ要請で外遊取り止め=まとまらない歳出削減案=公的負債増加でドル高進行

2024年11月5日

ハダジ財相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)
ハダジ財相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 3日、フェルナンド・ハダジ財相は予定されていた欧州行きを取りやめた。これはルーラ大統領の進言によるもので、同財相の「財政支出削減の額や日程は未定」との発言以降、記録的なドル高が止まらない状態になるなど、市場が否定的な反応を示したことへの対処を求められてのことだった。同日付フォーリャ紙(1)が報じている。

 ハダジ氏は4日からロンドンやパリ、ベルリン、ブリュッセルに赴いて現地当局や投資家たちと会談を行った後、9日に帰国する予定でいたが、これがルーラ大統領の要請により急きょ中止となった。
 これは、かねてから懸案とされてきた支出削減案に関する連邦政府の対応の遅れに対し、市場が圧力をかけていることに対処するために、大統領が求めたものだ。経済基本金利(Selic)が再び上昇に転じ、5、6日の通貨政策委員会(Copom)でも再引き上げの可能性がある中、ルーラ第3期政権開始以降、公的債務残高の主要指標(GGGD)の対国内総生産(GDP)比率は7%ポイント近く上昇して、8月末時点で78・5%に達している。財政均衡法に沿った財政管理のためにも財政支出削減が不可欠との見方が強いためだ。
 地方選挙直後に支出削減パッケージが発表されることを市場は予測していたのに、ハダジ財相らは大統領と数回話し合った後、次のようなお手上げ発言をした。
 ハダジ財相は10月29日、テベテ企画予算相らの経済スタッフが言及していた支出削減案に関して、「(支出削減策や額についてまとめたパッケージ)発表の時期は決まっていない。(大統領とは既に話し合いを行っており、内容や発表の時期を)決めるのはルーラ大統領だ」と責任をなすり付けるような発言をした。この時点でドルは、2021年3月29日以来の高値となる5・762レアルに高騰した。(2)
 それがさらに急騰したのは1日だ。その原因はハダジ氏の欧州行きで、約1週間、財相が不在となることを知った市場が、同財相からの支出削減に関する回答がさらに大きく遅れることになると予想したことと、米国の大統領選が近づいたことでドル高が一気に進み、前日の終値を1・52%上回る5・869レアル/ドルを記録した。
 ルーラ大統領は10月28日以降、大統領官邸で財政支出削減に関する話し合いを繰り返し行っているが、詳細はまだ決まっていない。
 現時点での連邦政府の懸念は、各省庁が支出削減案に同意するかだ。支出削減は各省庁の政策にも関係するが、大臣たちはまだ財政支出削減に関する相談を受けておらず、来年度予算の配分まで考慮した上で支出削減案を受け入れられるかが懸念されている。
 また、同様の問題は連邦議会に対してもある。ハダジ財相は義務的支出の扱い等を含めた支出削減のための憲法改正補足案(PEC)提出の意向だが、同法案提出が2025年に先延ばしされると景気後退リスクがより高まるため、年内承認が必要となる。
 その議会対策としてハダジ財相は10月31日、ロドリゴ・パシェコ上院議長や数人の上議たちとの会談を開き、支出削減と抱き合わせたPECに対する理解を求めた。その会談では、公的債務の枠を国内総生産(GDP)との関係で決める案件が決まるまでの予算管理を一時的に認める措置の必要性や、政府経費自由枠(DRU)の有効期限延長について話し合われた。
 DRUは経費に関する税金や手数料から得た収入の30%までを自由に使うことを認めているが、有効期限は今年末で切れる。連邦政府側は、これを延長することにより、保健部門や教育部門へのやりくりが可能になると見ている。
 また、気候変動関連のカーボン市場に関するプロジェクトも重要課題の一つで、連邦政府と議会は、11〜22日にアゼルバイジャンで開かれる国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)開催前に同件をまとめたいとの意向を持っている。
 財政支出削減に関するPECに関しては、議員たちもその深刻さを理解し、協力姿勢を見せているという。アルトゥール・リラ下院議長も「現時点で調整できる分野があるとすれば二つ」との見解を示し、協力姿勢を見せているという。


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