Copom=基本金利11・25%に=米経済やインフレで再利上げ

中銀の通貨政策委員会(Copom)が6日、満場一致で経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント(P)引き上げ、年11・25%にしたと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
今回の調整は9月18日の0・25%Pに次ぐ2度目の引き上げで、引き上げ幅は市場が予想していた範囲内に収まった。市場では会合前から、引き上げ幅がどれ程になるかに関心が集まっていた。
それは、Selicの引き上げ再開の理由となったインフレ傾向が収まらないことや、米国の経済の先行きが読めないこと、最近のドル高レアル安傾向、前会合後に発表された議事録の内容などの諸要因から、再度の引き上げは大前提となっていたからだ。
Selicはインフレ抑制や景気刺激のために使われ、インフレ抑制が必要なら引き上げられる。16日発表の経済動向予測調査「フォーカス」の年末時点のSelicの予測値は11・75%だったから、産業界などの苦情(6日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)とは裏腹に、市場の読みはCopomの見通しと一致していたといえる。
正式な議事録発表は来週だが、Copomが会合後に発表した声明では、米国経済の先行きが不透明であることだけでなく、最近の財政政策を巡る動きが金融政策や金融資産にどんな影響を与えるかを注意深く監視していると述べている(7日付G1サイト(6)も参照)。
米国経済の先行き不透明感はトランプ氏再選で生じる政権交代や経済政策の変化などの影響が明確でないことなどを指しているが、6日の時点でも既に、米国が保護主義色を強めて、インフレやドル高などを招く可能性が指摘されている(6日付G1サイト(7)(8)参照)。
他方、国内では政府の経済スタッフが財政均衡法に基づく財政収支のバランス堅持のための経費削減策の取りまとめなどに追われている。
経費削減策は統一地方選の決選投票後に発表と約束されていたが、調整に手間取り、発表が一日延ばしとなっている。ハダジ財相は先週から大統領との会合を繰り返しており、ドル急騰などに驚いた大統領の要請で4~9日に予定されていた外遊も取り消したが、経費削減策は各省庁からの苦情が噴出したりして調整が難航。
ハダジ氏は4日以降、「5日に発表」「6日になる」と弁を翻しており、6日夜も「要調整項目が残っている」が「7日発表」に変わるなど、関係者の気をもませている(6日付G1サイトなど(9)(10)参照)。
財政政策を巡る調整遅れは米大統領選の結果と相まって、従来は財政政策に触れて来なかったCopomに、「財政予算の構造的な政策提示と実行により、債務の持続可能性にコミットした信頼できる財政政策がインフレの鎮静化と金融資産のリスクプレミアムの削減に繋がり、金融政策にも影響を与えることを再確認する」と言わせた。
7日付CNNブラジル(11)によると、連邦政府の閣僚達は米国大統領選の結果確定後、経費削減策の確定、発表は急務だと再認識。7日付G1サイト(12)によると、ルーラ大統領は7日も閣僚会合を開き、調整を行っているが、7日付フォルベス(13)によると、専門家からは、今回発表される経費削減策を含む強力な財政政策をしてもSelicを12・5%以下に抑えるには不十分である可能性があるとの声が出ている。