カルフール=ボンパールCEOが謝罪=精肉会社も供給停止を解除

【既報関連】世界的な小売り大手のカルフール並びにポン・デ・アスーカル・グループのアレクサンドル・ボンパール会長兼最高責任者(CEO)が20日、メルコスル産の肉の輸入や販売を停止する意向を表明したことで、ブラジルの精肉会社のJBSなどが反発し、伯国内のカルフールや同グループの店舗への肉類供給を停止したことを受け、ボンパール氏が26日に謝罪文をカルロス・ファヴァロ農相に送り、精肉会社による供給停止も解除されたと26日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
20日付G1サイトなど(5)(6)によると、カルフールがメルコスル産の肉の購入を停止する意向であることは、ボンパール氏が、EU(欧州連合)とメルコスルの間の自由貿易協定に反対するフランス国内の農業生産者らのプロテストの波の中で、同国の農業生産者の全国組合連合(FNSEA)の会長に送った文書を自分のインスタグラムやX、リンキンディンに掲載したことで公に知られるところとなった。
同氏はその中で、EUとメルコスルとの間の合意が「要件や基準を満たさない食肉がフランス市場に溢れるリスク」を引き起こすことや環境との関係への懸念を表明。この手紙がメルコスルの一員でもあるブラジルの農業生産者やアグリビジネス関係者を刺激して起きたのが、ブラジル国内のカルフールや同グループのアタカダンなどへの食肉供給停止だ。肉の供給を停止した企業は、カルフールが扱う肉の80%を供給している国内最大手のJBSやアタカダンが販売する肉の唯一の銘柄でJBS傘下のフリボイで、マルフリギやマステルボイも供給を停止した。
ブラジル国内の店舗への供給停止は20~21日に発表されており、カルフールが慌てて、メルコスルからの食肉購入と販売の停止はフランス国内の店舗のみで、他国の店舗では従来通り、メルコスル産の肉を購入・販売するし、ブラジルやメルコスル諸国が生産する肉の品質や衛生管理を批判したり否定したりしてはいないと釈明したが、JBSなどの供給停止は止まらなかった。
25日付G1サイトなど(7)(8)によると、供給停止により、25日にはカルフールの一部店舗で品不足が発生し始めたという。
また、農牧業議員前線(FPA)や農相、ハダジ財相などが相次いでボンパール氏やフランス並びにEUの保護主義的態度への批判や不満を表明。カルフールの肉購入停止措置は自らを追い込む判断で、伯国の精肉会社による供給停止は迅速かつ必要な措置だったと支持する声や、カルフールが立ち位置を変えることを求める発言も相次いだ(25日付G1サイトなど(9)(10)(11)(12)(13)(14)(15)(16)参照)。
他方、25日付G1サイトなど(17)(18)によると、ファヴァロ農相は25日、ボンパール氏の発言撤回のため、フランス大使館が仲介に乗り出す意向であると発表。この動きを受けてか、25日夜は、同日付エスタード紙など(19)(20)(21)によると、カルフールが態度を変え、謝罪文を送る準備をしているという報道が相次ぎ、26日朝、ボンパール氏がファヴァロ農相に謝罪文を送ったとの報道が流れた。
ただ、26日付G1サイトなど(22)(23)(24)によると、ボンパール氏は謝罪文で、ブラジルの生産者らのプロ意識や土地や生産者への配慮、ブラジル産の肉の品質の高さは理解しているとした上で、最初の手紙はフランスではフランスの生産者の品、ブラジルではブラジルの生産者の品を販売するという、現地調達の原則を再強調しただけだったが、ブラジル農業とのパートナーシップに疑問を呈し、それを批判したと解釈された可能性があり、誤解や混乱を生じさせたことを詫びると記述。
謝罪文の内容が公開された後は、謝罪文の文面は最初の手紙の文言と一致していない、最初の手紙が引き起こしたメルコスル産の肉への印象悪化その他の世界的なインパクトを見ると農相への個人的な謝罪では不十分、フランスの保護主義的な態度を改めなければ真の解決とはならないなどの声も出ているが、精肉会社による供給停止は解除され、店頭での品不足も早急に解消される見込みだ。