ルーラ=閣僚人事の変更検討=次回選挙睨み基盤強化=セントロンと連携深化へ

ルーラ大統領(労働者党・PT)は、与党基盤の拡大や2026年選挙向けた支持強化を目的として内閣改造を検討している。大統領は既に政府の広報を担う大統領府社会通信局(Secom)の是正を望んでいると明言しており、法務省や国防省での人事変更も議論されていると、5日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
大統領側近や与党の政治家らは昨年末から内閣改造に関する議論を開始しており、閣僚レベルも含めた人事異動が予測されている。現時点ではまだ、具体的な変更点が発表されていないが、連立与党からは予算管理や権限の拡大を求める声が上がっており、これらの変更が連邦議会の休会期間が終わる2月までに決定される可能性があると見ている。だが、ルーラ大統領は圧力を嫌い、決定を先延ばしにする傾向があるため、具体的な日程については見通せないとされている。
大統領は現在、上下両院における与党基盤の強化、26年選挙に向けた与党連携の強化、また政府のプロジェクトや政策の実施効率を向上させることを目的とした変更の影響を慎重に検討している。
変更が最も現実的と見られているのは、広報対応や政府広告、SNS運営を担うSecomで、大統領は既に改善の必要性を明確にしている。現時点では、パウロ・ピメンタ長官(PT)に代わって、22年の大統領選挙のキャンペーンでルーラ氏を支えたマーケティング担当者のシドニオ・パルメイラ氏が起用される可能性が取り沙汰されている。パルメイラ氏は政権発足当初からルーラ氏に助言を行っており、歳出削減策の発表やクリスマス演説などの政府の主要な発表に直接的に関与していた。ピメンタ氏については、連邦議会議員への復帰や、大統領府総務室長官への転任が検討されていると報道されている。
また、中道勢力のセントロンからは与党内での権限拡大を求める声が上がっている。特に、社会民主党(PSD)は現在の省庁の配置に不満を示しており、より大きな予算を持つ省庁のポストを求めており、保健省などが対象に含まれているとの報道もある。
与党内からも、PTが過大な影響力を持っているとの指摘がある。PTは下院で513議席中67議席、上院で81議席中9議席を有するに過ぎないが、12の省庁を掌握している。このため、一部の議員は、議会との調整を担う渉外室長官(現在はアレシャンドレ・パディーリャ氏)のポストにセントロンの代表を据えるべきだと主張している。
さらに、国防省および法務省でも人事異動が起こる可能性が指摘されている。ジョゼ・ムシオ国防相とリカルド・レヴァンドウスキー法相について、家庭の事情を理由に退任を検討しているとの憶測があるが、両者とも公式には否定している。大統領は、軍との関係改善や治安分野での政策推進を目的に両大臣を信頼し、起用してきた。法務相の後任候補としては、2月に上院議長を退任するロドリゴ・パシェコ氏(PSD)の名前が挙がっている。
第3期ルーラ政権では、意思決定における慎重さと遅延が目立ち、ルーラ氏が圧力を排除する姿勢を貫いている。22年末の政権移行時も閣僚名簿の正式発表は12月29日と遅く、23年の観光相やスポーツ相の交代でも数週間を要した。与党や支持者はこうした背景から、閣僚変更の具体的な時期を予測するのは難しいと見ている。