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サンパウロ州=被害者の母が保安局長解任要求=知事は人事の変更を否定

2025年1月15日

タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(左)とギリェルメ・デヒッチ同州保安局長(右)(Foto: Governo do Estado de São Paulo/Divulgação)
タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(左)とギリェルメ・デヒッチ同州保安局長(右)(Foto: Governo do Estado de São Paulo/Divulgação)

 サンパウロ州では軍警による権限乱用や致死性の高い暴力事件が相次いでおり、治安危機が顕在化している。そんな中、昨年11月に起きた軍警による医大生射殺事件の被害者の母親がギリェルメ・デリッテ州保安局長の解任を求めたが、タルシジオ・デ・フレイタス知事は13日、それを否定。一方で、治安政策や軍警の行動の見直しを促すため、再訓練プログラムの実施や職権乱用の厳罰方針を表明したと、同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
 22歳の医大生マルコ・アコスタ氏は昨年11月、サンパウロ市南部ヴィラ・マリアーナ地区のホテル前で軍警に至近距離から射殺された。アコスタ氏が巡回中の警察車両のバックミラーを叩いたことが追跡、発砲の理由とされているが、警官のボディカメラの映像からは射殺直前に被害者が「手を放して」と繰り返し訴えていたことが明らかになっており、凶暴性は見られなかったため、警官の対応が疑問視されている。
 事件後、アコスタ氏の母のシルヴィアさんはデリッテ保安局長の解任を求めたが、タルシジオ知事は、「現時点では人事変更を行う予定はない」と述べ、解任を否定した。
 同知事はさらに、同事件は州内の治安政策や軍警の手続き、行動の在り方について再考を促すものであると強調。再訓練プログラムの実施や非致死性武器の導入を進める方針を表明し、軍警の行動規範違反には厳しい処罰を科すと述べた。また、事件の責任者は司法に引き渡されると強調した。
 今月10日には、サンパウロ市東部グアイアナゼス地区で16歳のヴィトリア・ドス・サントスさんが軍警のチアゴ・ゲーラ容疑者によって射殺される事件が発生。容疑者は職質中にヴィトリアさんの兄の頭を銃のグリップで殴っており、その衝撃で引き金がひかれて発砲。弾はヴィトリアさんの胸を直撃したが、軍警達は何の処置もとらずにヴィトリアさんの兄を連行しており、長時間放置されたヴィトリアさんは出血多量で死亡した。ゲーラ容疑者はその後、現行犯逮捕された。
 裁判官は「容疑者が同様の事例に関与したのは初めてではない」と指摘。同件も治安危機を象徴するものであり、専門家らは「暴力を正当化する政治指導者、過剰な暴力の行使を許容する治安モデル、監視体制の弱体化」が原因であると分析している。特に、ボディカメラの使用基準緩和が問題視されている。
 同知事の就任2年目の24年は、警察による介入で、前年比で54%増の835人が死亡した。これは1日平均で2人以上が警官に殺されたことを意味する。


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