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恩赦法に賭けるボルソナロ=両院の過半数に届いたか=カギを握るPSD等の動き

2025年2月25日

18日のボルソナロ氏(Reproducao)
18日のボルソナロ氏(Reproducao)

 ボルソナロ前大統領を含む34人が22年の大統領選後のクーデター未遂捜査で連邦検察庁から起訴されたことで、前大統領派の議員たちが1月8日三権中枢施設襲撃事件に関する恩赦法を成立させるべく動いている。ボルソナロ氏の側近たちは「承認を得るだけの支持を獲得した」と語っているが、ウゴ・モッタ下院議長や政党リーダーたちは異なる見方をしている。
 
 ボルソナロ氏は自身が起訴された18日は下院に、19日は上院に自ら足を運び、野党の議員たちに恩赦法を成立させるよう訴えかけた。
 ボルソナロ氏は下院に行った際、「下院ではもう、過半数の支持を得る見込みが立っている」と語っていた。(1)
 また、ボルソナロ派の政治家たちも恩赦法の通過に自信を見せている。ニコラス・フェレイラ下議は「承認させるのは苦ではない」とし、サルジェント・ファウル下議(社会民主党・PSD)は「3月にも全体投票がある」、上院のクレイチーニョ・デ・アゼヴェド上議(共和者・RP)は「上院では45~55人が賛成する」と語っている。(2)
 だが、その一方で、「現時点ではまだ過半数を獲得するには至っていない」とする報道もある。21日付G1サイトによると、ウゴ・モッタ下院議長の側近は、「今、投票を行えば、恩赦法は確実に負けることは誰もが知っている」と語っている。
 また、ボルソナロ氏が所属するPLの下院リーダー、ソステネス・カヴァルカンテ下議は、20日の会議に恩赦法を「乗せたいとは思っているのだが」としつつ、議題に乗せることをしなかった。(3)
 ボルソナロ氏や支持政治家たちが恩赦法の成立に自信を見せている背景には、ボルソナロ氏がPSDのジルベルト・カサビ党首と恩赦法に関する会談を行ったことがある。PSDは44人の下議を抱え、昨年の市長選で大勝したことから、党の存在感を上げている。ボルソナロ氏は「協力を約束してもらった」と語っている。
 一方、カサビ氏は「ボルソナロ氏とはあらゆることを語った」としながらも、まだ具体的なことは決まっていないとし、「党員たちには恩赦法の投票に関しては自由にさせている」と語っている。
 PSDには熱心なボルソナロ派も少なくないが、ルーラ政権閣僚にも3人が名前を連ねている他、新型コロナの上院議会調査委員会(CPI)の議長だったオマール・アジス上議や1月8日事件の両院議会調査委員会(CPMI)の議長だったエリジアーネ・ガマ上議など、ボルソナロ氏と対立している人も少なくない。
 一部報道によると、PSDやウニオンといった政党は、「その成立によりボルソナロ氏が恩恵を受けるということでないなら」とのことで、恩赦法に協力するとの姿勢を見せているという。(5)
 アトラス社は22日に、ボルソナロ氏の起訴に関する初の世論調査の結果を発表している。それによると、国民の51・7%は「ボルソナロ氏がクーデターに参加した」と考えており、「関与していない」の40・5%を上回った。また、「ボルソナロ氏は逮捕されるか」の問いには52・5%が「逮捕される」、27・2%が「恩赦が出される」、17・7%が「裁判で無罪になる」と答えている。連邦警察の捜査に関しては、53・8%が「政治的に偏ったものではない」と捉えているが、29・7%は「偏っている」と考えているという。(6)


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