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恩赦法=今週の下院の議題から外れる=デモ後もリーダーらが懸念示す=モッタ議長も慎重姿勢崩さず

2025年4月9日

7日の下院(Camara Dos Deputados)
7日の下院(Camara Dos Deputados)

 6日にボルソナロ前大統領がサンパウロ市パウリスタ大通りでデモを行った翌日も、23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件で有罪となったり、勾留されたりしている人たちへの恩赦法の審議は優先される気配はなく、今週の下院の緊急議題には入らなかった。ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)も、恩赦法の提案には理解を示しながらも、慎重な姿勢のままでいる。7日付(1)UOLサイトなどが報じている。

 下院は今週、司法府が提案した4法案に対する緊急要請についての投票を行う予定だ。それらは最高裁人事枠組での委任職創設、高等裁判所の司法技術者職の司法分析官職への転換、サンタカタリーナ州への連邦裁判所八つの設置と第4地域裁の連邦判事職の新設、第1地域裁判所の判事職再編とピアウイ司法部の連邦特別裁判所の救済委員会設置などだ。
 また、司法関係の法案以外にも、労働法統合規定の廃止、銃器を携帯する権利がないのに銃器を使用したものに対する刑期の延長、リカルド・レヴァンドフスキ法相が提出した治安に関する憲法改正案(PEC)なども緊急議題として扱うことになる見込みだが、恩赦法は議題に含まれていない。(2)
 自由党(PL)の下院リーダー、ソステネス・カヴァルカンテ下議は6日のデモの際、「今週中に投票にこぎつけさせる」と宣言していたが、現在の予定通りならば今週も審議される見込みはないということになる。
 この背景には、中道勢力セントロンの政党リーダーたちが6日のデモの後も、審議に至る環境にないと判断したことがある。とりわけ問題視されたのはデモの際に壇上に立った福音派の大物牧師シラス・マラファイア氏が、モッタ下院議長を「敵」「パライバ州の恥」と呼び、侮辱したことだ。政党リーダーの一人によると、マラファイア氏のような攻撃は、モッタ議長のみならず、下議たちとの対話も困難なものにするという。モッタ議長は議長選挙の際、513人中444人の賛成を得て圧勝している。
 また、世論も恩赦法に対して厳しい見方をしている。一例はダッタフォーリャが1〜3日に行った世論調査で、56%が恩赦法に反対。賛成は37%で、19%ポイントの開きがある。
 昨年12月には62%が反対、33%が賛成だったから、その時よりも賛成派が増えているが、その間、ボルソナロ前大統領や野党が恩赦法を求める運動を激化させても、世間の大勢の意見が変わったとは言い難い。
 モッタ議長は7日、しばらく言及していなかった恩赦法に関して久々に口を開いた。サンパウロ商業協会(ACSP)の会合で、同議長は「大げさな(重すぎる)判決は見直される必要がある」と発言。一部の被告の減刑要請などに対する理解を見せた。ウゴ議長は議長に就任する前から同様の趣旨の発言を行っている。
 だが、同議長は同時に、「この件は繊細で公正な解決を行う必要がある。我々はもう既に、権力システムの危機に直面しており、それを悪化させるようなことはできない」と語った。これは恩赦法の承認を図れば、連邦議会と最高裁の関係が悪化することを恐れた発言と見られている。同議長は「審議すべき事柄は恩赦法だけではない」とも語っている。(3)
 ボウソナロ派の議員たちは引き続き、下院で行われている他の法案審議の妨害を試みるなどして恩赦法の審議を行うようプレッシャーをかけ続けている。7日付ヴェージャ誌の報道によると、現時点で162人の下議が議題にすることに賛成しているという。賛成に必要な議員数は257人だ。(4)


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