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恩赦法=PLが緊急審議の手続きへ=セントロン協力で署名過半数に=判断はモッタ下院議長次第

2025年4月16日

ソステネス下議(Camara Dos Deputados)
ソステネス下議(Camara Dos Deputados)

 下議からの署名が過半数を超えたことで、自由党(PL)が23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件の襲撃者に対する恩赦法を緊急審議するための要請書を提出した。14日付G1サイト(1)が報じている。

 PLの下院リーダー、ソステネス・カヴァルカンテ下議は14日、恩赦法を下院の緊急議題にのせるための手続きを行った。それは、下議総数の過半数にあたる257人を超える署名を集めることができたためだ。
 署名を行ったのは264人だが、ソステネス氏や野党リーダーのズッコ氏の署名は数えないルールなので、262人分として扱われる。
 ソステネス下議は当初、280人の署名を集める意向だったが、現実的に難しかったため、戦略を変え、過半数の下議の署名に恩赦法を求める一般人の署名を添える形をとった。
 署名が過半数に達した背景には、連邦政府に協力しているセントロン政党の存在がある。ウニオンは59人中40人、進歩党(PP)は48人中35人、社会民主党(PSD)は44人中23人が署名を行っている。
 ウニオンは現在3人の連邦政府閣僚を輩出。その中の1人だったジュセリーノ・フィーリョ氏は先週、スキャンダルを理由に通信相を辞任したが、同相のポストは同党が所有したままだ。だが、グレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官(労働者党・PT)はこれを取り消すことも示唆している。
 アンドレ・フフカ・スポーツ相が所属しているPPは、連邦政府からの役職引払いを検討している。党首のシロ・ノゲイラ氏はボルソナロ政権時の官房長官で、同氏との結びつきが強いことでも知られている。
 また、過半数は超えなかったものの、民主運動(MDB)も44人中20人の下議が署名に応じている。
 緊急議題として取り上げるよう求める嘆願に使われた署名は、取り消すことができない。だが、署名に応じた下議たちの半数以上(今回の場合は132人)が反対した場合、撤回することが可能だ。
 嘆願が提出されても、自動的に議題となるわけではない。議題にあげるか否かの決定権はウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)にある。同議長は現在、休暇をとって旅行中で、決定はそれから戻ってくるイースターの連休明けとなることが確実だ。
 だが、審議がすぐに起こるとは予想されていない。その理由は最高裁から予想される反応だ。それは、グレイシ・ホフマン長官が10日に恩赦法の部分的な審議の可能性をほのめかした際、最高裁から強い反発の声が起こったことでも明らかだ。(2)
 最高裁は、仮に恩赦法が連邦議会で承認されても、同法案はテロについて定めた憲法第5条第43項と第44項に反するとの意見判断を行うことを示唆している。モッタ議長も最高裁との対立を強く恐れている。(3)
 下院で承認された緊急審議要請は合計で1136件あり、その多くは2010年以降保留となっている。恩赦法の他にも「公務員への追加給与」「髄膜炎ワクチン」「学校の警備」などの重要法案が審議待ちの状態にある。緊急審議要請が出ているものの中には数年越しでも審議されていないものがあり、即座の審議は難しいとも見られている(4)


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