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通信相=異例の辞任受け、再指名=党内の対立関係を反映か

2025年4月25日

通信相に任命されたフレデリコ・デ・シケイラ・フィーリョ氏(左)と前任のジュセリーノ・フィーリョï氏(右)(Foto: Rafa Neddermeyer/ Agência Brasil)
通信相に任命されたフレデリコ・デ・シケイラ・フィーリョ氏(左)と前任のジュセリーノ・フィーリョï氏(右)(Foto: Rafa Neddermeyer/ Agência Brasil)

 ルーラ大統領は24日、ブラジル営通信会社テレブラス現総裁のフレデリコ・シケイラ・フィーリョ氏を、新たな通信相に正式に任命した。大統領は、同氏起用を強く推したダヴィ・アルコルンブレ上院議長(ウニオン)の提案を受け入れたと、同日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
 シケイラ氏は23日に大統領府を訪れ、前任のジュセリーノ・フィーリョ氏(ウニオン)とアルコルンブレ上院議長が同席するなか、ルーラ大統領と会談を行っていた。
 通信業界では「フレッジ」の愛称で知られるシケイラ氏は、ペルナンブコ連邦大学で土木工学を専攻。電気通信分野では26年間の職務経験を有している。通信大手Oi社では21年間、商業部門の要職を歴任し、うち10年間は対政府関係を担う渉外部門の理事を務めた。同氏は、ジュセリーノ前通信相の推薦により、2023年5月からテレブラスの総裁を務めている。
 通信相のポストは、ジュセリーノ・フィーリョ氏が議員割当金の不正流用の疑いで連邦検察庁(PGR)から告発されたことを受け、4月初旬に辞任して以来、空席となっていた。ジュセリーノ氏はその後、連邦下議としての職務に復帰している。
 今回の次期通信相を巡る人事は、同じくウニオン所属で下院リーダーを務めるペドロ・ルーカス・フェルナンデス下議が就任要請を辞退したことを受けたものだ。アルコルンブレ議長はこれを受け、より専門的な技術官僚の起用を模索していた。
 ルーカス氏はジュセリーノ・フィーリョ氏の辞任直後にルーラ大統領からの正式な打診を受け、大統領官邸での会合後に次期通信相との発表も行われていたが、22日に辞退の意向を表明し、「現在は下院での職務を通した方が国と政府により大きく貢献できる」と述べ、指導的立場を維持する意向を明らかにした。
 辞退の背景には、ウニオン党内における激しい派閥争いがあるとされている。ルーカス氏が党内の指導的地位を離れれば、対立する派閥が主導権を掌握する可能性があるとの懸念が広がっていた。同党内には、ルーラ政権を支持する上院議長を含めたグループと、対立的な立場を取る勢力が併存。来年の大統領選挙に向けて熾烈な勢力争いの最中だ。ここで大臣に就任して政権側に就くより、野党勢力側でいた方が来年には有利という読みが働いていると報道されている。(4)
 通信相のポストを巡っては、ウニオン党内でも複数の候補者が検討されていた。その中には、弁護士兼ジャーナリストのミゲル・マトス氏の名も挙がっていた。同氏は、党首のアントニオ・ルエダ氏から高く評価されており、現在は連邦議会のコミュニケーション評議会の議長を務めている。
 マトス氏は、ルーラ大統領によって任命された連邦高等裁判事ダニエラ・テイシェイラ氏と結婚している。また、マトス氏は法律情報サイト「ミガーリャス」の創設者でもあり、事前の評価は高かったものの、最終的にはシケイラ氏起用が決まった。


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