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INSS疑惑=PDT下院が与党連合離脱=党首ルピ氏の社会保障相辞任で=上院は引き続き支持続行も

2025年5月8日

エリンジェル下議(Paulo Sergio/Camara Dos Depitados)
エリンジェル下議(Paulo Sergio/Camara Dos Depitados)

 党首であるカルロス・ルピ氏が国立社会保険院(INSS)のスキャンダルで社会保障相の座を追われたことで、民主労働党(PDT)の下院議員団が与党連合からの離脱を宣言したが、上院議員団は留まった。長年の協力関係にあった同党とルーラ大統領や労働者党(PT)との関係に亀裂が入っている。6日付G1サイト(1)が報じている。

 PDTの下院は6日の昼過ぎ、連邦政府の支持から離脱し、野党にはならないが、独立した立場をとることに決めたと宣言した。この宣言はルピ氏がINSS問題で責任追及を受け社会保障相を辞任して4日後に起こったものだった。
 この辞任劇をPDTの下議たちは苦々しく受け取った。彼らはルピ氏の辞任に関し、世間からの批判の矢面に最も目立つ形で立ってしまったことを「PDTに対しての侮辱」と受け取っている。連邦警察や連邦内部総合統制局(CGU)の捜査対象にルピ氏の名前が出てこなかったのに、辞任させられたからだ。
 同党下院リーダーのマリオ・エリンジェル氏によると、今回の決断は下議の満場一致によるものだった。「我々は野党になるつもりはない。私たちが(ボルソナロ前大統領の)自由党(PL)と組むことはない。私たちは連邦政府と一致した考え方を持っているが、今は与党勢力から距離を置きたい」とエリンジェル下議は説明している。
 PDTは下院に17人の議席を持ち、2023年のルーラ政権発足後から支持を行っていた。現政権だけでなく、過去2期のルーラ政権やジルマ政権でもPDTは常にPT政権を支持していた。
 今回のPDTの下院の決定に対し、連邦政府の政局調整(アルチクラソン)担当のグレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官は「意思を尊重したい」と言うに留まっている。
 このPDTの下院の与党連合離脱に関して、2026年の大統領選で同党からの独自候補擁立につながるのではとの見方も出ている。過去2度の大統領選でもシロ・ゴメス氏が出馬している。
 PDTの下院はこの日、ルピ氏と会合を行っている。それによると同氏は連邦政府によるINSSスキャンダルの解決への取り組みに理解を示しているものの、自身が不正を容認したと見られることに不満を持っているとも言われている。
 またPDTの下院は与党連合から離脱したことで、野党側が進めているINSS問題での議会調査委員会(CPI)への支持も示唆し始めている。これは、INSSの不正割引支払いがボルソナロ政権など以前の政権時にも存在したことなどもその理由には含まれているが、同スキャンダルをルーラ政権によるものとのイメージを避けたい連邦政府としては開設を避けたがっている。(2)
 その一方でPDTの上院は引き続き連邦政府の支持を継続する声明を、同じく6日に発表した。同党上院リーダーのウェヴェルトン・ロシャ上議は「下院の決定は尊重する。我々は異なる見解を有してはいるが、党として引き続き共に進んでいきたい」と声明の中で語っている。(3)


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