クーデター疑惑=下院が下議訴訟の一時停止決議=前大統領にも適用可能か?=最高裁は違憲との見解も

下院は7日、全体投票の結果、連邦警察のクーデター計画疑惑の捜査で被告となったアレッシャンドレ・ラマジェン下議(自由党・PL)に対する訴訟を一時停止させる決定を行った。これは同下議だけに止まらず、ボルソナロ前大統領をはじめクーデター計画での被告、起訴対象者にも影響する可能性があり、最高裁判事の一部が早くも違憲との見解を述べている。同日付フォーリャ紙(1)が報じている。
この日、まず下院の憲法司法委員会でラマジェン下議の訴訟を一時停止させる案が審議され、44票対18票で承認された。
ここで注目されたのは、この法案がラマジェン下議のみを対象としたものではなかったことだ。報告官を務めたアルフレッド・ガスパール下議(ウニオン)による草案には「最高裁で係争中の嘆願書12100号に含まれる刑事訴訟は起訴されたすべての犯罪に対して停止される」と記されていた。つまりこれは、ボルソナロ前大統領をはじめとした現時点で21人の被告を含む、連邦検察庁に起訴された34人の起訴対象者すべての訴訟の一時停止を意味するものだ。
これに対し、与党側の下議らは、憲法の範囲内で下院が一時停止にできるのは下議に関する訴訟のみだと反論している。
この後、下院での全体投票が行われ、315票対143票の圧倒的大差でラマジェン下議の訴訟の一時停止が可決された。
この下院の決定に関して、最高裁判事のうち4人がフォーリャ紙に対し、違憲との見解をすでに示している。
今回の審議に関して、事前に最高裁の第1小法廷裁判長のクリスチアーノ・ザニン判事が4月末にウゴ・モッタ下院議長に書面を送り、「下院が差しとめできるのは下議であるラマジェン氏のみである」との見解を告げていた。クーデター計画疑惑で起訴された対象者のうち、下議はラマジェン氏一人だけだ。
ラマジェン氏に関しても「下議として認証を受けた日、つまり2022年12月19日以降の罪状にしか停止できない」とされていた。ザニン判事の理解だと、停止可能な罪状は「文化遺産の破壊」と「指定文化遺産の損壊」のみで、「武装犯罪組織」「クーデター」「民主的な方支配の廃止」の三つの罪状は下議認定前のことだとしている。 (2)
同フォーリャ紙によれば、下院の専門家による評価では、最高裁の見解にもかかわらず、憲法では執行停止の決定権は最高裁ではなく両院議会にあるため、下院は今法案の文面をそのまま承認することができる。このような特権の拡大は、連邦議員の判断に委ねられることになると報じられている。(3)
今回のこの下院での審議は、ボルソナロ派による1月8日三権中枢施設襲撃事件の恩赦法を求めてのデモが連邦議会のすぐ近くで行われた中で行われた。そこには腸閉塞での入院から退院してわずか3日のボルソナロ氏自身も駆けつけた。
ボルソナロ氏は壇上から「恩赦は政治的行為であり、議会に権限がある。議会が投票するのだから誰にも干渉されない。国民の大多数の意思を代表する議会の意向は反映されるべきだ」と訴えていた。(4)