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ルーラ=G7でイスラエル批判=加盟国が先制攻撃擁護の中=ゼレンスキーとの会談中止に

2025年6月22日

ルーラ大統領とカナダのカーニー首相(Ricardo Stuckert/PR)
ルーラ大統領とカナダのカーニー首相(Ricardo Stuckert/PR)

 ルーラ大統領は現地時間の17日、カナダでのG7首脳会議において、イスラエルによるイランへの先制攻撃を批判した。また、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談をキャンセルしてカナダを後にした。同日付フォーリャ紙(1)が報じている。

 ルーラ大統領は来賓として招かれたG7首脳会議の席で、「(13日に行われた)イスラエルによるイランへの攻撃は中東を一つの戦場とし、計り知れない世界的な影響を及ぼす可能性がある」と述べた。この際、ルーラ氏はイランが14日に報復攻撃を行ったことには触れなかった。
 ルーラ氏は、イスラエルが2023年10月7日にパレスチナ武装集団ハマスが行ったテロへの報復としてパレスチナ自治区ガザに対して行った攻撃についても、「女性や子供たちに対する無差別殺戮や、飢餓を戦争の武器として利用することを正当化できるものはない」として批判している。
 また、「パレスチナ国家の承認に抵抗する国がまだ存在する。これは法と正義の擁護における彼らの選択性を証明している」とも語った。
 今回のG7首脳会議では、イランの核保有問題が取り沙汰され、イスラエルによるイランへの先制攻撃が擁護されている。
 この見方を、G7のアラブ諸国に対する姿勢の問題と捉える向きもある。パレスチナを国家として認めている国は国連参加193カ国中145カ国に至っているが、G7の国はすべて未承認だ。(2)
 ブラジル外務省はイスラエルがイランに先制攻撃を行った後に批判声明を出しており、中国やロシア、インドを含む新興国10カ国が参加する上海協力機構(SCO)や、トルコ、エジプト、アラブ首長国連邦をはじめとするアラブ/イスラム系の21カ国も批判を行っている。(3)
 また、ルーラ大統領はこの日に予定されていたウクライナのゼレンスキー大統領との会合をキャンセルした。それは現地時間17時30分(ブラジリア時間20時30分)に発表されたもので、理由はプログラムの遅れにより、ルーラ、ゼレンスキー両氏のスケジュール調整が難しくなり、帰国せざるをえなかったためだ。この日の首脳会議は1時間30分遅れで始まっていた。
 ゼレンスキー大統領はルーラ氏が予てからロシア寄りの発言を行っていると批判し、不仲だと囁かれていたが、今回の会談はゼレンスキー氏の提唱によって予定されていた。会談はキャンセルされたが、ルーラ大統領とゼレンスキー氏は記念写真には隣りあわせで納まった。
 さらにこの遅れにより、ルーラ大統領はドイツのメルツ首相との会談もキャンセルした。ルーラ氏は今回、トランプ米大統領の就任後、初となる同席の可能性があったが、トランプ氏が予定を早めて16日に帰国したため、それも実現しなかった。
 ルーラ大統領はカナダの新首相であるマーク・カーニー氏と会談を行ったほか、韓国やメキシコ、インド、南アフリカの代表たちと会話を行っている。(4)


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