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ブラジル マンダカルー物語=黒木千阿子=(5)

2025年6月27日

 山を二つ越えるというのは、まったくの初耳でした。その上、マリーはロングスカートにレースのブラウス。それに踵の高い靴を履いて、耳と首にはチャリン、チャリンと金具をぶら下げて、隣の町にでも出かけるような恰好でしたから、私も軽い気持ちで応じたのですが・・・・。
 こんなことならと、即座に彼女を見捨てて家に帰ろうと思いましたが、私の大事な荷物は乳母車にくくりつけてあるので逃げ出す事も出来ません。
 「なんて頭のいい女!ひとりで来たくないものだから、さんざんめかしこんで私をだまし、おまけに私の荷物を人質にして・・・・」
 私は、そんな悪態をつきながら、マリーに従って行...

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