中国車参入で輸入販売急伸=伸び率は国産車両の6倍に

全国自動車工業会(Anfavea)は7日、25年上半期における国内の輸入車登録台数が前年同期の19万7667台から15・6%増の22万8472台へと伸長したと発表した。特に、中国製の車両急増が顕著で、輸入車のシェアは約20%に達していると同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
25年上半期の自動車市場では、国内車の販売が前年同期比で2・6%増にとどまったのに対し、輸入車の伸びはこれを約6倍上回った。国内走行車両に占める輸入車の割合は22年の13%から19・1%へと急上昇し、国内市場での輸入車販売が拡大していることが明らかとなった。
国別でみると、中国からの輸入車は前年同期比で37・2%増と著しい伸びを示し、約7万台が登録された。一方、最大の輸入元であるアルゼンチンも、13・6%増で約10万台を記録している。Anfaveaは、25年の中国車輸入は20万台規模に達するとの予測している。
Anfaveaのイゴール・カルヴェッチ会長は、輸入車の急増により、国内産業の空洞化や雇用機会の減少、国内の部品供給網の脆弱化が進む可能性を懸念している。加えて、競争環境の不均衡が続くと国内生産が不利になることから、関税の見直しを含む政策対応の重要性を強調した。
他方、中国大手BYDは1日に、バイア州カマサリ工場で半完成車(SKD)方式による組立を開始。26年には完全生産への移行を予定している。BYDはこれまで、輸入に依存していたが、現地生産に踏み出したことは輸入車の増加に対する一つの対応策と見られる。
だが、BYDは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車の関税減免を申請しており、これは政府が計画するEV・ハイブリッド車輸入に対する関税率引き上げの方針とは対立している。Anfaveaはこの関税減免申請を「脱工業化の促進だ」として強く反対。カルヴェッチ会長は、「ノックダウン生産(CKD)やSKD方式は技術的高度化や雇用創出に寄与しない」との見解を示している。
一方で、国内生産に対する投資は現時点では維持されており、総額約1800億レアルに上るものの、今後の市場環境の不確実性は投資計画の見直しを迫る要因となり得ると警鐘を鳴らしている。
なお、BYDは国内の企業106社をサプライヤーとして認定し、現地部品供給に参画している。Anfaveaは「真に国内生産を行う企業」との協議には前向きであり、BYDに対しても加盟を含めた対話の可能性が示されている。
他方、輸出では、25年上半期における国産自動車の輸出台数が前年同期の約16万5千台から26万4千台へと急増し、183・1%の大幅な成長を遂げた。特にアルゼンチン市場への輸出が顕著で、同市場は同期間中に約15万7千台を輸入した。この好調な輸出動向は、輸入増加による国内市場の揺らぎを補完する形となっている。
だが、国内の生産状況は必ずしも安定しているとは言い難い。上半期の生産台数は前年同期比で7・8%増加したものの、5月および6月は連続して月次生産が減少している。特に、6月は前月比で6・5%減の約20万台となり、年間生産目標達成には下半期における大幅な巻き返しが必要とされている。