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帰化して三重知事選挙に挑戦=「日本の姿」問う石川剛さん(4)=真の独立国家と国際連携目指す

2025年8月5日

海外移住と文化の交流センターの入口に立つ石川剛さん
海外移住と文化の交流センターの入口に立つ石川剛さん

 石川さんが描く「日本の未来」は、一言で言えば「天皇陛下中心に真の独立国家の再生」だ。表面的な経済成長や外見上の安定ではなく、国家の根幹をなす食料とエネルギーの完全自立、そして日本のアイデンティティを取り戻した誇りをもって生きられる教育体制の充実を図ることだ。

 ただし、たとえ石川さんが県知事に当選したとしても、エネルギー政策や外交・国防は国家レベルの専任事項であり、地方自治体では難しい。ここでは「人物紹介」記事の一環として、可能不可能と関係なく「本人の想い」や「考え方の方向性」を取材している。

エネルギー・食料の100%自立へ

 県政で実現したいことの内、妥協できない項目の一つが、自立的なエネルギー政策と農業・食料政策。「エネルギーと食料の自立なくして、日本の独立もない」。県政を超えて国政にも向けたこの信念の背景には、敗戦以降長らく続くアメリカ依存の体制と、その中で失われてきた日本人の誇りと自覚への深い問題意識がある。

 「都市部では、ブラジルから見ると違和感を覚える〝アメリカナイズされた日本人〟が育ち、地方で対話すると30代の若者でも『戦争に負けたから仕方ない』と口にします。これで本当に日本の未来が拓けますか?」と問いかける。

 日本の日本人が「日本人の誇り」というと冷めた目で見られがちだが、ブラジル生まれで混血の石川さんが言うと、興味深く聞いてもらえるのが「不可思議」という。

教育制度の再構築

 教育制度では、結果的に多くの国民が使えない英語の勉強に長時間を費やさず、実生活に役立つ実用科目への転換、高校無償化の拡大、そして社会人にも開かれた学びの機会を創出し、「自らのペースで学ぶ教育」への転換を目指す。

 石川さんも大人になってから日本の大学で法律を学びたいと思ったが、年齢などから断念せざるを得なかった。ブラジルでは子供に学校教育を無理強いする空気は少なく、年齢に縛られず自分で必要と感じたらやり直す道がもっと開かれている。「人生は試験で決まらない。子どもには生きる楽しさを教えるべき」と強調する。

「直通海外貿易ルート」で地方創生、三重県の〝開放〟へ

 産業振興や教育、インフラ整備の根底には「三重県を〝閉県〟から〝開県〟へ」転換させるという意志がある。海外に開かれた自治体は着実に成長を遂げており、これまで内向きと評されてきた三重県の体質を刷新し、世界150カ国以上と直接交渉できる「地政学的に開かれた拠点」へと進化させたい考えだ。

 その一環として、三重港の太平洋側に海外との直通貿易ルートの新設も構想している。このルートにはエネルギー備蓄コンビナートなどを併設し、戦略物資の輸出入を県内で一元的に管理・コントロールできる体制を構築する。名古屋港とも連携を強化することで、三重を日伯貿易の拠点とすることも視野に入れている。

 「世界に三重の製品を売り込み、日本製の誇りを、三重から発信します」と鼻息は荒い。農業大国のブラジルが食料を世界に輸出しているように、三重も品質を武器とした物産を海外バイヤーに直談判で売り込む自信があるという。2025年を「衰退の分岐点」ではなく「発展の転換点」とする覚悟だという。(続く、大浦智子さん取材)


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