マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(31)=サンパウロ 梅津久
第24話 アマゾネンセがイタリアへ
2000年の7月、アマゾネンス(アマゾナス州生まれのブラジル人)と一緒にイタリア出張に行った時に非常におもしろい事が一杯あったので、記録してみた。
7月といえば、南半球のブラジルは真冬だが、イタリアは北半球にあるので暖かいと思い、半袖等真夏の服装で、サンパウロの飛行場に行った。しかし、出発ロビーで待っている人達は、何とオーバー姿、ジャンパー姿がほとんど「これは間違ったかな?」と思った。
飛行機に乗るや否やすぐに雑誌を広げ、地図をみた。何とイタリアのミラノは北緯で日本の北海道と同じ。「これはひょっとしたら寒いかもしれないな」と心配になってきた。気候状態を聞かなかったのはまずかったと後悔をしたが後の祭り、寒いイタリア旅行の始まりとなった。
イタリアの飛行場に着き、入国手続きでは、私は日本人パスポートですんなり入国できたのだが、同伴したアマゾネンスは入国手続きで手間取っている。「何しに来たのか、ドルはいくら持っているか、ドルを交換した証明書はあるか」などとしつこく聞かれている。
心配になった私は、「私と一緒に観光に来て、この予約したホテルに宿泊する」と言って入国出来た。
次に手荷物検査。これはなんのシステムもなく、税関検査官が荷物を持って飛行場を出ようとする人を見ていて、抜打ちで旅行者を呼びとめて検査する。
これも私はなんなく通ったが、彼は呼び止められ、バッグを開けさせられ、「どこに行くのか」とまた聞かれるありさま。これも私が「○○○社のだれだれの所に旅行に来た」と伝え、OKとなった。
たしかに彼をよく見ると、色は浅黒く、目がギョロとしていてあまり人相が良くない。麻薬の運搬人みたいに見えたのかもしれない。これは幸先の悪い第一歩となってしまった。
またイタリアの飛行場ではカート(スーツケースを運ぶ台車)は金を払わないと使えない。初めて訪れる人は習慣の違いを感じる一つ目の洗礼である。
説明書はキチンとあるのだが、だれも金を払うものとは思わないから、並んでいるカートを力一杯引っ張る人々の光景が次から次へと繰り広げられる。隣のイタリア人の行動を見て、お金を払ってカートが使えることが分かる次第である。
同じ様に、鉄道の駅や、観光地でもトイレは金を払わないと使えない。お金がなかったらどうなるのだろうと考えると恐ろしくなってくる。
鉄道の話をすると、ブラジルでは“ピッシャッソ”といって、建物にわけのわからない落書きが多いが、イタリアでも全ての列車のボデーに落書きがされている。ブラジルと違うのはその落書きが非常に芸術的でいろんな模様の落書きになっていて見ていても好感が涌き、想像するだけで楽しくなる。
また、客車のほとんどが個室になった列車が多かった。
