低評価の医学部に制裁措置=教育省がレベル向上に新方針

教育省は19日、医学教育の質向上を目的に今年から実施される国家医学教育評価試験(Enamed)において、低評価を受けた大学の医学課程に対し、新入生受け入れ停止、定員削減、連邦奨学金制度からの除外といった厳格な制裁措置を講じる方針を明らかにした。措置は26年から適用され、改善が見られない場合には当該課程の閉鎖も視野に入れると同日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)が報じた。
Enamedは連邦政府により今年4月に創設された全国統一試験で、医学課程の卒業予定者に受験が義務づけられた。第1回試験は10月19日に実施される予定だ。
同試験において、5段階評価のうち下位にあたる「1」「2」と評価された学生が多く所属する大学医学課程は、「戦略的監督」の対象とされ、教育省による指導が強化される。当該課程では新たな定員枠の拡大が禁止されるほか、政府の学生融資制度「Fies(学生融資基金)」、大学奨学金制度「Prouni(全ての人のための大学計画)」への新規参加が停止される。
評価が改善されない場合には、当該課程閉鎖も検討対象となる。教育省は「質確保を重視し、構造的な改善を促す」としており、受験後には各大学に弁明の機会が与えられるが、制裁解除の時期は明示されていない。
ブラジルでは医師国家試験が存在せず、大学の医学課程を修了すれば、自動的に医師免許が取得できる仕組みだった。このため、医学教育の質にばらつきが生じやすく、低水準の医師の輩出が社会問題化してきた。
これを受け、Enamedは医学教育の水準を客観的に測定する初の国家試験として導入された。教育省は26年以降、医学部の4年生も受験対象に加える予定で、試験結果は医師専門研修課程(レジデンシー)への全国統一試験(Enare)の総合得点に20%分加算される。
同年には、国立教育研究所(Inep)による全国全ての医学課程への現地訪問調査も実施される予定で、評価指標が基準を下回る課程には監督措置が講じられる可能性がある。
今年度のEnamedには計9万6635人が登録し、うち5万6796人が「外部受験者」。外部受験者にはすでに医師資格を持ち、レジデンシー選抜を目的に受験する人も含まれる。
一方、25年度のEnareには、4996人分のレジデンシー枠に対して8万127人が登録しており、競争率の高さも課題となっている。
23年の高等教育調査によると、国内の私立大学における医学部定員は4万6152人、公立では1万4403人にのぼる。2012年時点では私立が1万217人、公立が7424人であり、過去10年間で大幅に増加した。
18年、当時のテメル政権下で新規医学課程の開設審査は凍結されたが、ルーラ政権発足時点で369件の申請が司法に係属し、約6万人分の新定員枠増が想定されていた。政府は23年以降、そのうち4354人分の定員開設を承認している。
24年には、連邦最高裁が「マイス・メジコス法」の合憲性を確認し、新規課程の開設に際しては公募制の導入が義務化された。これにより、医療人材が不足する地域を優先し、教育インフラや地域ニーズを考慮した上で、教育省が設置候補地を指定し、応募した教育機関の中から選定する枠組みが整備された。
今回の制度改革は、教育の質の確保と地域医療の充実を同時に図るものであり、今後の運用については教育界・医療界双方が注視している。