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麻野涼=『褐色の血』第一部「混濁の愛(上)」=《後編》=差別と移民が交錯する愛の序章=ブラジルという「溶魂炉」の中で

2025年8月30日

麻野涼『褐色の血』第一部「混濁の愛(上)」《後編》差別と移民が交錯する愛の序章ブラジルという「溶魂炉」の中で
サンパウロ市南部の様子(Agent010, via Wikimedia Commons)

一方、小宮は被差別部落出身であるがゆえに婚約を破棄され、日本社会に深く失望した末にブラジルを目指す。彼が出会ったのは、進駐軍の黒人兵と日本人女性の間に生まれ、幼少期から激しい差別に晒され、移住してきた女性だった。二人はブラジルで祝福されるように結ばれ、家庭を築く。日本では「血」の純潔をめぐる排他的な価値観が二人を傷つけたが、ブラジルという「溶魂炉」の中で、異なるルーツがひとつに融け合う希望を見いだしたのである。

さらに物語には、在日朝鮮人の金幸代一家の姿も交錯する。差別から逃れるため、一家は「地上の楽園」と喧伝された北朝鮮に渡ったが、日本に残った幸代は窒息するよう...

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