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本間ヒデコ氏作陶の世界記す=『茶椀』出版記念イベント=陶芸と茶道、生け花の饗宴

2025年9月20日

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サンパウロ市ピニェイロス地区のトミエ・オオタケ・インスティトゥートで13日、『茶椀 A Poética da Chawan Japonesa: Concepção, Arte e Emoção(日本の茶碗の詩学:構想、芸術、感情)』(本間ヒデコ、ジュリアナ・ネグラン著)の出版記念イベントが開催された。同書は、茶道で使用される伝統的な日本の茶碗の世界にまつわる伝統、所作、感情を明らかにするもの。

当日は著者で陶芸家の本間ヒデコ氏をはじめ、関係者による座談会、生け花草月流・吉本タマコ氏による生け花実演、茶道裏千家ブラジルセンター代表・林宗一氏による茶席の三部構成で、多くの来場者を集めた。

第一部の座談会は、文化プロデューサーの高橋ジョー氏の司会で行われ、本間氏、林氏、元連邦高等裁判事でポ語俳人の上田雅三氏、同インスティトゥートのキュレーターであるアナ・ロマン氏、陶芸家で講師のアカシア・アゼベード氏が登壇した。

本間氏は、自身の作陶の原点について「私の原点は小さなお椀である。子どもたちが幼い頃、夫が釣ってきた魚で刺身を作り、ご飯と味噌汁を用意した際、実家から持参した小さなお椀を使った。結婚後は自分の器を持ちたいと考え、自作するようになった。その小さなお椀作りから始まり、現在は日常使いの器として作り続け、生徒たちにも教えている」と語った。

林氏は黒楽茶碗を持参し、「茶道の世界では様々な茶碗が用いられるが、千利休が長次郎とともに生み出した黒楽茶碗は侘の思想を象徴する。ただし黒楽だけでは重くなる。多様な茶碗があることで茶の湯の世界は豊かになる。この『茶椀』は、ブラジルの焼き物文化を一層深めるであろう」と述べた。

同時に行われた生け花実演では、本間氏の器に吉本氏が竹やグロリオサリリーを生け、観客から感嘆の声が上がった。

続く林宗一代表が自ら茶を点てた茶道実演では、陶芸家の生駒憲二郎氏や、元グローボ日本特派員で現在はCNNの看板番組『CNN Prime Time』のアンカーを務めるマルシオ・ゴメス氏、その妻でジャーナリストのタイガ・ゴメス氏、トミエ・オオタケ・インスティチュートの創設者リカルド・オオタケ氏(故・大竹富江さんの次男、同インスティチュートの顧問)、日本の工芸・デザインにも詳しいデザインキューレター・研究者のアデリア・ボルジェス氏ら、各界の錚々たるメンバーが、本間氏の茶椀で茶を楽しんだ。

イベント当日は、本の購入者を対象に本間氏のサイン会が行われ、長蛇の列ができた。本のタイトル『茶椀』は、木製のお椀が本間氏の陶芸による茶碗制作の原点であったことから木篇の「椀」を採用。題字は書道家、松下夕那さんの書になる。『茶椀』は、トミエ・オオタケ・インスティトゥート内Livraria GaudíおよびEditora Afluenteの公式サイト(www.afluente.art/produto/a-poetica-da-chawan-japonesa-concepcao-arte-e-emocao-299)にて195レアルで販売中。



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