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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(254)

2025年9月24日

それから十年余、筆者が木村家を訪れた。

数章前から何度かに渡って記した木村家に関する話は、その時にきよみから聴いたものだが、彼女は最後にこう言った。

「私は、もう八十四歳。死ぬまでに、アノ時のことを、誰かに話しておきたかった…」

筆者は、コチアの最期については、数え切れぬほどの人に取材したが、両手を挙げて喜んだという人は初めてであった。

公平さを欠かぬため、敗戦派側の話も付記しておく。

当時、この地で敗戦派だった実藤亨(十一章で登場)によると、

「組合事務所の人間が、毎日、鉄砲を撃って威嚇したというような事があれば、近くに居た私の耳に入っていた筈だ。が、そん...

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