site.title

ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(264)

2025年10月11日


一つ参考になる話がある。

終戦後のサンパウロに、カチカチの戦勝派と言われたKという人物がいた。商売で一応の成功を収めていた。非常な愛国者で、周囲がなんと言おうと、日本の戦勝を信じていた。

一九五二年、ブラジルと日本の国交が回復した時、帰国した。出発前、自分だけでなく甥にも手伝わせて、円を買い集めた。新円への切り替えは知らなかった。

為替業者から買ったが、サンパウロでは欲しいだけ入手できなかったので、甥がリオへ行って買った。

値段は紙切れの様に安かったという。そういう値であれば、犯罪性は薄れよう。古銭の蒐集を趣味とする人間もいる。為替業者は、公然と売っていた様である...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...