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トランプ=米国の西半球での優位性回復=中南米での中国影響力排除へ

2025年12月9日

万華鏡1
ドナルド・トランプ米大統領(Foto: RS/Fotos Públicas)

トランプ米大統領は、最新の国家安全保障戦略(NSS)で、欧州大陸は移民流入で衰退し、文明が消滅しつつあると警告すると同時に、西半球におけるアメリカの優位性回復を再確認した。米政府が5日に公表した文書は、モンロー主義の現代的解釈を基盤とし、中国の経済的影響力抑制やベネズエラへの圧力を明示するとともに、欧州同盟国の政治的・経済的脆弱性に言及。戦略文書は、米国の利益を最優先に据える「米国第一主義」の立場を前面に押し出し、同盟国により積極的な防衛・経済負担を求める姿勢も示していると同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。

今回公表された文書では、米国政府はモンロー主義に「トランプ補論(コロラリー)」を適用すると述べ、19世紀の原則を再解釈しつつ、米国が大陸全体で影響力を拡大させる構想を示唆している。1823年、米国が新たな世界的勢力として台頭する時期に生まれた「モンロー主義」は、「アメリカ大陸はアメリカ人のためのもの」と宣言し、当時中南米で影響力を保持していた欧州列強に対抗する思想として用いられた。

これにより、米国は地域内での戦略的拠点の確保や、外国企業によるインフラ建設の排除など、経済的・軍事的関与の拡大を目指す。中南米における中国の影響力拡大を抑えることが、米国の戦略上の優先課題であると明記されている。

ベネズエラのマドゥロ政権への圧力や、麻薬取引対策としてカリブ海・太平洋東部での海上作戦強化、移民管理や国境安全保障の徹底も重要施策として掲げた。

専門家は、この戦略が中国への牽制を強く意図していると指摘する。聖州Ibmec大学国際関係・経済学教授のアレシャンドレ・ピレス氏は、「米国は、中南米における中国の経済的影響力を抑え、地域の契約や貿易関係を自国中心に再編することを狙っている」と分析。文書では米国企業の活動優先方針も示され、外交官には現地での競争力確保支援が求められるとしている。

ピレス教授も、今回の米国の動きはすべて、中南米での中国の存在感を弱めることが狙いであり、今回の声明の最も明確な宛先は中国(北京)であると指摘している。

一方、欧州に対しては、移民政策や出生率の低下、自由言論の制限などが国家的脆弱性を招き、将来的に「文明消滅の危機」に直面する可能性があると警告。また、欧州諸国が自己防衛を担うべきであり、米国はもはや欧州の秩序維持を単独で担うべきではないとも指摘している。

北大西洋条約機構(NATO)についても拡大を停止すべきで、欧州自身が安全保障の責任を果たす必要があると述べている。ロシア・ウクライナ戦争に関しては、戦争終結とロシアとの戦略的安定の再確立が米国の「重要利益」に含まれるとしつつ、欧州の政治的混乱や政策の不安定性に対する懸念も表明している。

トランプ政権は、米国の軍事力を西半球に重点化する一方、中東に対する関与を縮小する方針も示した。文書では、米国は中東諸国に対する政治的介入を控え、地域の経済的機会を重視すると明記されている。これにより、過去数十年間続いた米国の中東政策の優先順位は低下し、代わりに中南米での影響力強化が目立つ形となる。

中国・台湾関係にも言及。台湾防衛に関し、米国は中国との軍事的均衡を維持しつつ、台湾を防衛するための戦力優位を確保する方針を明示した。地域の同盟国(日本や韓国など)に対しては、中国の影響力拡大を抑えるため、防衛能力の向上や経済的・外交的貢献を積極的に行うことを求めている。

AP通信(3)によれば、米国は「単独で対応することはできず、同盟国も防衛に関してより多くの行動と負担を担う必要がある」と強調しており、米国を中心とした集団的安全保障の枠組みを強化する姿勢が鮮明に示されている。

トランプ政権の新戦略は、米国の利益最優先を旗印に、西半球での影響力強化と同盟国への要求を鮮明化するとともに、欧州や中東での従来の関与を相対的に縮小することを示すもの。ブラジルを含む中南米諸国の対応や、欧州各国の反応が今後の外交情勢を左右するものとみられる。


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