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教育委員会=日本移民への謝罪の日創設へ=連邦議会で法案が一歩前進

2025年12月10日

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連邦下院の教育委員会は12月2日、西森ルイス連邦議員が提出した「日本移民への謝罪の日」を学校教育の公式記念日として定める法案(PL 3.422/2025)について、イスマエル・ドス・サントス連邦下院議員(報告官)による賛成意見書を受理した。審議は次の段階へと進む。

賛成意見書は、同法案が国家共通基礎カリキュラム(BNCC)や教育基本法(LDB)の理念に完全に合致していると指摘。歴史的な出来事の理解、差別の構造、文化的多様性の尊重といった教育目標に資する内容だと評価した。また、エスタード・ノーヴォ体制期や戦後に日本移民が受けた政治的迫害が、広く知られていない歴史であることを踏まえ、その記憶を教育的観点から再発掘する重要性を強調している。

この法案の背景には、2024年7月25日にブラジル連邦政府が日本移民に対して公式に謝罪した出来事がある。これを機に「記憶」「補償」「教育」をめぐる議論が再燃し、今回の立法化につながった。

法案作成には、日本移民への謝罪運動を牽引してきた奥原マリオ純弁護士が加わり、同氏の著書『80 anos depois: A Justiça Histórica dos Imigrantes Japoneses no Brasil(80年後:日本移民の歴史的正義)』の問題提起も反映されているという。

奥原氏は「補償は制度として形になる必要がある。教育こそがその道を開く」と語り、議会内での理解促進に向け、教育委員会所属の100人近い議員全員に対し、歴史的経緯をまとめた資料を個別に届ける考えだ。政治的な働きかけには、元連邦議員の飯星ワルテル氏や「赤間学院(セントロ・エドゥカシオナウ・ピオネイロ)」も協力する。

法案は教育委員会で承認されれば、人権委員会、続いて憲法・司法委員会(CCJ)での審議に移る。成立すれば、学校現場ではこの記念日を軸に、日本移民史や市民権、民主主義、人権に関する授業や活動が全国的に展開できるようになる。

今回の賛成意見書は、ブラジル社会における日系コミュニティの記憶を教育カリキュラムとして正式に位置づけるための大きな前進と言える。長く語られずにきた歴史を、次世代が正しく学ぶための道が開かれつつある。


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