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【18日の市況・速報】Ibovespa、前日比0.38%高の15万7923.34ポイント/下院議会、ボルソナロ氏三男らの議員資格を剥奪/EU・メルコスル協定、署名は1月に延期/メキシコ中銀、インフレでも利下げ継続

2025年12月19日

南米・ブラジルの金融市場・政策・国際情勢動向


ブラジル株式、外部環境を追い風に反発

銀行株とヴァーレが指数を下支え

ブラジル株式市場で代表的な株価指数であるボベスパ指数(Ibovespa)はこの日、前日比0.38%高の15万7923.34ポイントで取引を終えた。上昇幅は596.80ポイント。前日まで2営業日連続で大幅安となっていたことから、目先の調整一巡を意識した買い戻しが優勢となった。

値動きには一定の振れが見られたものの、材料面での大きなサプライズはなく、市場関係者の間では「基本に忠実な、いわば“フェイジョン・コン・アローズ(豆とご飯)”の相場だった」との声も聞かれた。

為替市場では、レアルは対ドルで小幅安となり、商業ドルは前日比0.01%高の1ドル=5.523レアルで取引を終えた。週を通じて4日連続のドル高となった。一方、金利先物(DI)は短期から長期まで全ての年限で上昇し、金融引き締めが長期化するとの見方が根強いことを示した。


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政治情勢が再び市場を揺らす

ルーラ再選観測が重荷に

市場の変動要因として、この日も政治が大きな影を落とした。投資家の間では「半分の出来事でも十分に意図は伝わる」との見方が広がり、政局のわずかな動きが相場を左右する展開となっている。

サンパウロ州のタルシジオ・デ・フレイタス知事が、次期大統領選を巡りフラヴィオ・ボルソナロ上院議員への支持を示唆する発言を行ったことが、投資家の注目を集めた。ブルームバーグ向けに実施されたアトラス・インテル社の世論調査では、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が、想定されるすべての対戦カードで勝利すると予測されている。タルシジオ知事との一騎打ちとなった場合でも、ルーラ氏が優位に立つ結果となった。

現時点で野党陣営の有力候補と目されるのは、ボルソナロ前大統領の長男であるフラヴィオ氏だが、それでもルーラ氏は第1回投票の段階から大きくリードしている。

GTキャピタルの投資戦略家でパートナーのニコラス・ガス氏は「市場の激しい値動きは、マクロ経済指標よりも、明らかに選挙を巡る不透明感に起因している」と指摘する。(




市場が警戒する「ルーラ続投」

財政拡張と高金利の長期化懸念

なぜ政治情勢がこれほどまでに市場心理を左右するのか。その背景には、ルーラ政権の経済運営に対する根強い警戒感がある。

市場関係者の間では、「ルーラ氏の再選は、市場にとって好意的に受け止められていない」との見方が一般的だ。歳出拡大を志向する政策姿勢が、インフレ圧力を高めるとの懸念が強いためである。

財政スタンスが拡張的であれば、政策金利セリック(Selic)の持続的な引き下げは難しくなり、金利水準が高止まりするとの予想が強まる。その結果、金利先物が上昇するという構図だ。この日の動きも「急激ではないが、方向性は明確な金利上昇」と受け止められている。(




中銀総裁の発言、市場に一時の安心感

「決定はデータ次第」

ブラジル中央銀行のガブリエル・ガリポロ総裁は、この日午前に公表された金融政策報告(RPM)を巡る記者会見で、市場の過度な読み込みにくぎを刺した。

「市場は中央銀行の発言の中に、存在しないヒントを探そうとする」と述べ、政策判断はあくまで経済指標次第であるとの姿勢を強調した。セリック金利の先行きについても「何も決まっていない」と明言し、決定は開かれているとした。

中央銀行が重視しているのは景気減速であり、その兆しはすでに現れつつあると分析する。インフレについても、中期的には目標への回帰を見込む姿勢を示した。こうした発言を受け、市場では一時的に金利低下への期待が高まった。

ルーラ大統領自身も「利下げの匂いを感じている」と述べ、金融緩和への期待感をにじませた。(


米国市場が追い風に

インフレ鈍化で株価上昇

この日のボベスパ上昇を後押ししたのは、外国市場の好調さだった。米国では11月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレ鈍化が明確となった。

これを受け、ニューヨーク市場では主要株価指数がそろって上昇した。欧州市場でも、英中銀の利下げや欧州中央銀行(ECB)の成長率見通し引き上げを背景に、主要指数が堅調に推移した。



ヴァーレと銀行株が上昇

石油株は明暗分かれる

個別銘柄では、資源大手ヴァーレ(VALE3)が0.26%上昇した。国際的な鉱山株と比べて割安との評価が改めて意識された。

銀行株も軒並み反発し、ブラジル銀行(BBAS3)が0.19%高、ブラデスコ(BBDC4)が0.44%高、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)が0.51%高、サンタンデール・ブラジル(SANB11)は1.52%高となった。取引所運営のB3(B3SA3)も0.38%上昇し、最近の下落分を一部取り戻した。

一方、原油価格が上昇したにもかかわらず、ペトロブラス(PETR4)は0.58%下落した。ただし、ペトロレコンカーボ(RECV3)やブラヴァ(BRAV3)など独立系企業は大幅高となり、同じエネルギー関連でも明暗が分かれた。



連邦下院議会、ボルソナロ氏三男らの議員資格を剥奪

政治の緊張、さらに高まる

ブラジル下院の理事会は18日、エドゥアルド・ボルソナロ氏とアレシャンドリ・ラマジェン氏の下院議員資格を失効させた。

エドゥアルド氏は度重なる欠席が理由で、憲法上の上限を超える59回の欠席が確認された。ラマジェン氏については、クーデター未遂事件を巡る有罪判決後に国外逃亡したことが決定打となった。(
エドゥアルド・ボルソナーロ連邦下院議員(PL-SP)は本会議の欠席数が多すぎることを理由に任期の喪失を決定されたが、この決定は政治的権利の喪失や2026年選挙への資格喪失を意味するものではない点が重要だ。(

両議席は補欠議員が引き継ぐ見通しで、議会内の勢力図にも影響を与えそうだ。




EU・メルコスル協定、署名は1月に延期

欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスル)の自由貿易協定について、署名が2025年1月に延期された。EU首脳会議で欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が明らかにしたと、複数の関係筋が伝えている。(



ルーラ氏、トランプ氏との関係改善を強調

「80歳同士、争う理由はない」

ルーラ大統領は、米国のドナルド・トランプ大統領について「今では友人だ」と述べ、対立回避を強調した。「言葉の力は武器より強い」と語り、対話による関係改善に自信を示した。(



メキシコ中銀、利下げ継続

インフレ高止まりでも景気配慮

メキシコ中央銀行(バンヒコ)は政策金利を0.25%引き下げ、7%とした。インフレ率が目標を上回る中でも、景気刺激を優先した形だ。インフレの再加速と成長鈍化という難しい舵取りが続いている。(



不確実性の中で迎える年末相場

週末を控え、市場は落ち着いた展開が予想される。残る材料は議会での予算審議のみだ。ただし、政治・経済の不確実性が高まる中で、「本当に“静かな年末”と言えるのか」との疑問も、なお市場関係者の間に残っている。




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