サンパウロで記録的高温 大都市圏でも水不足懸念、全国で熱波警戒続く
ブラジル南東部の大都市サンパウロで28日、12月として過去最高となる最高気温37.2度が観測され、都市部を中心に異常な高温が続いている。国立気象研究所(INMET)によると、この気温は同市での観測史上(1943年開始)で12月の新記録となり、昨年末に相次いで更新された高温記録をさらに塗り替えた。下のINMETトップページ画像にある通り、サンパウロ州内では内陸部の一部で42度超の地点も確認され、広範囲にわたる「歴史的な熱波」の到来を印象付けた。(1)
サンパウロ市はブラジル最大の経済・人口集積地であり、強烈な熱波は都市生活とインフラに影響を及ぼしている。住宅やオフィスビルでは冷房負荷が急増し、電力需要の逼迫が懸念されるほか、屋外労働者や高齢者を中心に熱中症のリスクが高まっている。保健当局は水分補給や直射日光下での活動回避を呼びかけている。
この異常高温は単独の現象ではなく、広域的な熱波の影響とみられる。INMETは数日前からサンパウロ州および周辺地域に「赤色(最大)熱波警報」を発令し、平均気温を5度以上上回る状態が5日以上継続すると定義される熱波が28日現在でも続いていると報告している。警報はミナスジェライス州やリオデジャネイロ州など複数州にも及んでおり、今週末まで同様の高温が予想されている(2)。
こうした高温は都市部の水需要にも影響を与えている。サンパウロ州の主要水源である複数のダム・貯水池は貯水率が低下しており、地域水道公社Sabespは「統合メトロポリタンシステム」の総貯水率が約26%と直近10日間で最低水準にまで落ち込んだと発表した。中でも最大級のカンタレイラ水系は20%前後まで減少し、需要増と乾燥した気象条件が重なった結果、夜間の水圧を下げるなど節水措置が進められている。政府は住民に対して計画的な節水を要請している(3)。
気象当局によると、今回の熱波は南米南東部に停滞する高気圧ブロックによって引き起こされており、通常より5度前後高い日が数日連続して続く見込みだ。熱波はサンパウロやリオデジャネイロといった大都市圏だけでなく、中西部、南部の一部州にも拡大しており、全国で約1,284の自治体が最高レベルの熱波警報の対象となっている。これら地域では平均気温を大幅に上回る状態が数日以上続くとみられ、健康被害やインフラへの影響が懸念される(4)。
ブラジル国立気象研究所(INMET)によると、ブラジルの大部分を襲っている熱波は今週から弱まり始めると予想されている。高温の原因となっている大気のブロッキングは弱まり始めているが、サンタカタリーナ州、パラナ州、サンパウロ州、ベロオリゾンテ州、リオデジャネイロ州といった南部および南東部の地域では、少なくとも水曜日(31日)までは気温が平年を上回ると予想されている。
サンパウロでは、今後数日間は最高気温が32℃から34℃の間になり、木曜日(1日)から徐々に気温が下がると予想されている。
雲が薄くなるにつれ、特に午後と夕方に夏の典型的な雨が増加すると予想されている。降雨は局地的で、一部地域では激しい豪雨や雹の降る可能性もあるが、現時点では広範囲に危険が及ぶ地域は確認されていない。
大晦日には、主にサンパウロとリオデジャネイロの沿岸部で雨が降る可能性があり、これらの地域では局地的に雷雨が発生する可能性がある(5)。








