【2026年新年号】COP30の成果振り返る=気候変動アジェンダ総括報告
アマゾン地域初の国際環境会議となった第30回気候変動枠組条約締約国会議(COP30)終了から1週間後の11月29日、交渉に参加した195カ国の間で気候変動アジェンダの29項目についての合意が成立、最終文書として発表されたとの総括報告が発表されたと同日付アジェンシア・ブラジルが報じた、
COP終了時に発表される最終文書は交渉参加国が賛同した公式決定をまとめたもので、全体合意には至らなかった多国間の合意は含まれていない。
COP30議長国行動計画担当コーディネーターのブルーナ・セルケイラ氏によると、COP30では気候変動対策を加速するための120の計画を盛り込んだ文書が作成され、190に及ぶ参加国は少なくとも一つの計画に基づいて行動したという。同氏は、これは世界的に前例がない成果だとも強調した。
成果の一例は、民間セクターや地方政府といった他のアクターによって構築された決定実施に向けて収束するイニシアティブが、一種の世界規模の「グッド・アイデア・バンク」として組織化されたことだ。セルケイラ氏によると、世界初のアイデア・バンクは、既に決まった事柄の実施を加速させるため、自主的な行動を結集するために設けられた。
行動計画は六つの軸に沿ってまとめられた。各軸は、①エネルギーと産業、輸送、②森林と生物多様性、海洋、③食料システムと農業、④都市、インフラ、水、⑤人間開発と社会開発と、⑥資金、技術、能力構築に分けられている。
成果が求められる会議
COP30は、採択から10年の節目となる「パリ協定」の順守には程遠い現状と、地球温暖化の影響を肌で感じさせる異常気象などを目の当たりにさせられる中で開催され、温室効果ガス排出量の着実な削減に向けた真摯な目標提示や各国の結束、成果重視の取り組みと人々の生活と結び付けた交渉、計画への各国の参加が求められた。
COP30議長団は、今会議の成果の一部はベレンでの活動全体を通して既に確認できたと見ており、森林と土地保有に関する既存の誓約加速計画である土地保護のためのグルーバル・イニシアティブを例に挙げた。
セルケイラ氏は、当初の気候変動対策資金は17億ドルの見通しだったが、COP期間中はさらに15~20億ドルの新たな資金投入目標が設定されたことにも言及。この新段階には、一部の国が土地管理改善を約束したことも含まれていると語った。
一例は伯国で、COP期間中に先住民族居住地の境界画定令を出した上、その一部を正式に認証した。黒人奴隷の子孫で、先祖伝来の文化の継承にも力を入れている集落(キロンボ)の住人達は、キロンボの土地の境界設定も求めている。先住民族や伝統民族が持続可能な生活を送り、森林保護などに大きな役割を果たしていることはCOP30でも再確認されており、居住地認証は土地管理改善策の一つだ。
12のテコによる診断
セルケイラ氏は、六つの軸に分類されたイニシアティブは12の「テコ」に基づく診断を受けたとも語った。これらのテコは、対象地域でのイニシアティブの規制から、需要、供給、社会の受容に至るまでの幅広い視点に基づいている。
また、COP期間中にまとめられた文書に盛り込まれた諸計画はこれらのテコに対処するための行動で、それにより、気候変動への取り組みを阻害している問題を解消し、より迅速に実施できるようになるという。
議長団は、テコによる診断作業の指針として、パリ協定の透明性メカニズムであるグローバル・バランスシート(GST)に基づき、長期的な温室効果ガスの排出目標の進捗状況を評価した。長期目標は5年周期で策定されており、気候変動対策のための最初のGST評価は23年、アラブ首長国連邦ドバイでのCOP 28で発表された。
計画実施のための連携
GSTの結果と整合した分類と診断を基にまとめられた120の計画は、参加国による正式な交渉を人々の日常生活に結び付ける効果を果たしたとセルケイラ氏は評価している。
経済を変革し、全ての人を気候変動対策に向けた行動に巻き込むには、経済や社会の主体の全てが現状や方向性を理解する必要があるが、GST第10項を全ての人に理解させるのは難しい。その意味で大切なのが六つの軸だ。エネルギーや産業、交通についてなら、皆に身近で理解できるからだ。
COP期間中に策定された120の計画の多くは既に進捗し始めており、今後のCOPでは、次の段階としての継続的な行動計画強化が求められる。セルケイラ氏によると、次の議長国は、トルコとオーストラリアとの合意において、COP30で策定された計画と構造を高く評価し、それを基盤として発展させていく意向を既に表明しているという。
同氏によると、今後の課題は、このレガシーを安定させ、これに基づいて働くことで、全ての関係者を引き続き交渉の場につかせ、計画の実施を加速させることだと結論付けた。
森林伐採と化石燃料の行方
セルケイラ氏は、COP30で策定された計画の実施加速を今後の課題にあげたが、最終文書には盛り込めなかった事柄の道筋を明らかにすることも必要だ。
その最たるものは、伯国が議長国として約束した、森林伐採や化石燃料への依存を終わらせるための工程表(ロードマップ)の作成だ。
マリーナ・シルヴァ環境相は11月28日、ブラジルは26年末まで気候変動対策に取り組む多国間プロセスの議長国を務めており、82カ国、市民社会、科学界の支援を受け、COP30での取り組み継続のために尽力すると明言。ブラジルは議長国として、各国が自主的に化石燃料への依存から脱却し、森林破壊を抑制するための工程表を策定できるよう、基盤を構築していくと語った。
化石燃料脱却の必要性を強調し続けてきた気候学者のカルロス・ノブレ氏は12月2日、COP30は期待に応えきれなかったとしつつ、ブラジルが26年末まで議長国を務めることへの期待も表明。伯国の26年は森林伐採と化石燃料への依存終結への工程表提示への働きを課題の一つとして始まる。(鈴木倫代)
【参考】
土地の境界設定
マリーナ・シルヴァ
カルロス・ノブレ









