米コロンビア雪解けの兆し=大統領選控え外交が争点に
一触即発の危機的状況を経て、米国とコロンビアの両首脳が対話の糸口を見いだした。ドナルド・トランプ米大統領とグスタボ・ペトロ・コロンビア大統領は7日、電話で直接協議し、緊張緩和に向けた一歩を踏み出した。コロンビアに対する米国の軍事的圧力や、麻薬問題を巡る激しい応酬が続いてきただけに、今回の歩み寄りが両国関係の安定につながるかが注目される。トランプ氏は同日、ペトロ氏をホワイトハウスに招き、首脳会談を行う用意があることも明らかにしたと、7日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
電話会談は、直前までトランプ氏がペトロ氏を強く非難し、軍事的措置も辞さない構えを見せていた中で実現した。これに対し、ペトロ氏も自国の主権や麻薬対策の正当性を強調し、国民に抗議行動を呼びかけるなど、対立は激化していた。
応酬の中で特に波紋を広げたのは、トランプ氏がペトロ氏を「病んだ男」と呼び、コロンビアについて「コカインを生産し、米国に売りさばくことが好きだ」と批判した発言だった。ペトロ氏はこれに対し、「老化した脳」の問題だと反論していた。
両国関係は、米国の経済的利益や麻薬戦争への関与を巡る対立を背景に悪化してきた。トランプ氏は、コロンビアが石炭や石油の供給で米国の意向に沿わないことに不満を示し、左派指導者であるペトロ氏を「麻薬テロリスト」と結びつけて批判していた。
一方、ペトロ氏は、カリブ海地域における米国の軍事行動に強く反発してきた。特に米政府が3日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束するために実施した軍事作戦について、法的根拠を欠き、他国指導者の「誘拐」にあたると非難した。麻薬輸送に関与したとされる船舶への攻撃についても、証拠が不十分なまま人命が失われたとして、国際法違反だと主張している。
こうした緊張を背景に行われた今回の電話協議は、双方が対話に戻る重要な転機となった。トランプ氏は麻薬問題や両国間の対立について率直に意見を交わし、今後の解決に向けた準備が進められていることを確認したとされる。ペトロ氏もSNSで、トランプ氏の電話に謝意を示し、冷静なやり取りだったと評価した。
外交筋によると、両政府は首脳会談の具体的な日程や議題について調整を進めている。米国による軍事的圧力がどの程度緩和されるかが焦点となるほか、軍事作戦の一部を当面見送る可能性も取り沙汰されている。
この一連の動きを、5月31日に予定されるコロンビア大統領選挙の文脈で見ると、外交が主要な争点となる可能性がある。トランプ政権との緊張は国内で大きな反響を呼び、主権尊重や反米姿勢を掲げる左派勢力にとって追い風となってきた。CNNブラジル(4)によれば、ペトロ氏が外部圧力を「対外的脅威」と位置づけた発信は、独立性を強調する政治メッセージとして今まで作用していた。
一方、今回の電話会談による関係改善の兆しは、対米関係の安定を重視する中道・右派層や経済界に一定の安心感を与える可能性もある。SBTテレビ(5)は、対米関係の安定を重視する有権者や企業界などに安心感を与える可能性があり、経済的・安全保障面で伝統的に米国との関係を重視する勢力は、このような外交的「正常化」の兆しに良い印象を受けると報じた。緊張を対話によって緩和したという実績は、選挙戦で外交手腕を示す材料にもなり得る。
今回の電話会談は、単なる緊張緩和にとどまらず、コロンビア国内の政局、とりわけ、大統領選を見据えた政治的な争点として作用する可能性がある。
なお、憲法の規定により、ペトロ氏は再選できず、左派陣営ではイバン・セペダ上院議員が後継候補として前面に立っている。緊張と対話の両面が、選挙戦でどのように評価されるのかが問われる。(6)








