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一時出所で約1900人逃亡=治安と制度のあり方に懸念

2026年1月14日

万華鏡2
マット・グロッソ・ド・スル州カンポ・グランデにあるガメレイラ州立刑務所(Foto: Agência Penitenciária)

年末年始に実施されたブラジルの一時出所制度「サイジーニャ」により、全国で4万6千人を超える服役囚が刑務所を離れたが、このうち約1900人が期限内に戻らず、逃亡者として扱われている。全体の約4%にあたる水準で、州別ではリオ・デ・ジャネイロ州が14%と突出して高い。逃亡者の中には危険性が高いとみられる人物や犯罪組織との関係が疑われる者も含まれており、社会の安全に対する懸念が広がっていると、12日付ファロル・ダ・バイーアなど(1)(2)(3)(4)が報じた。

最も高い逃亡率を記録したリオ州では、一時出所を認められた1868人のうち269人が戻らなかった。逃亡者の中には、麻薬密売組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)に所属し、過去に2度の脱獄未遂歴を持つマルコ・アウレリオ・マルチネス容疑者(通称ボラド)も含まれている。同州の逃亡者269人のうち、150人がCVと関係を持ち、他にもテルセイロ・コマンド・プーロ(TCP)に39人、アミゴス・ドス・アミゴスに23人が属しているとされる。

一方、サンパウロ州では逃亡者の絶対数が最も多く、2万9200人の一時出所者のうち1131人が刑務所に戻らなかった。割合は約4%に相当する。トカンチンス州では、出所した177人全員が期限内に復帰しており、例外的なケースとなっている。

サイジーニャ制度は、開放型刑務所や半自由制度下にある囚人を対象に、祝祭日などに一定期間、家族と過ごすための外出を認める仕組みだ。日中は農業や工業施設で就労するか、教育を受けていることが条件となり、初犯者は刑期の6分の1、再犯者は4分の1を満了した段階で適用される。ただし、殺人などの凶悪犯罪や暴力犯罪で有罪となった者は対象外とされている。

制度は本来、社会復帰を促すことを目的として導入されたが、今回の年末年始では逃亡者が相次ぎ、その実効性や安全性に疑問が投げかけられている。特に、犯罪組織に関与する人物が再び社会に戻ることで、地域の治安が脅かされるのではないかとの警戒感が強まっている。

こうした状況を受け、市民の間では、受刑者の更生や権利を重視する制度設計が、結果として社会全体の安全を犠牲にしているのではないかとの不安の声も出ている。逃亡者が相当数に上ったことで、法の下で守られるべき「権利」と、市民が求める治安や安心との間にある緊張関係が、改めて浮き彫りになった形だ。

アクレ州、アラゴアス州、アマゾナス州、ゴイアス州、マット・グロッソ州、パライバ州、ペルナンブコ州、リオ・グランデ・ド・ノルテ州ではサイジーニャ制度を導入しておらず、同様のリスクは生じていない。

連邦議会は2024年5月、サイジーニャの適用範囲を教育や職業訓練目的に限定する法改正を可決した。受刑者の更生や権利を重視するルーラ大統領は拒否権を行使したが、保守派が多い連邦議会はこれを覆した。ただし、憲法第5条の規定により、法律は遡及適用されないため、新法公布後に有罪判決を受けた者のみが記念日などの一時出所の権利を失う。

年末年始のサイジーニャをめぐる一連の事態は、制度運用の課題を改めて浮き彫りにしている。治安当局は監視体制の強化を進めているが、社会の安全をどう確保するのか、また「服役囚の権利」と市民の安心をいかに両立させるのかが、引き続き問われている。


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