街角ちょっと見=店内壁一面に懐かしのニッケイ新聞
空の玄関口、サンパウロ・グアルーリョス国際空港。野暮用で久々に国内線を利用した記者は、ふと「和の味」が恋しくなり、ターミナル内にある和食店「ゲンダイ」へと吸い寄せられた。
「ゲンダイ」といえば、1992年にショッピング・モルンビで産声を上げたブラジル和食界の風雲児だ。寿司や丼を「早い・安い・旨い」の三拍子で提供するファストフード・スタイルの先駆けとして、今や国内に50店舗以上を構える巨大チェーンへと成長。サンパウロのみならず、リオやブラジリアの胃袋をも掴む、まさにブラジルを代表する存在である。
そんな人気店で注文を済ませようとした記者の目に、衝撃の光景が飛び込んできた。なんと、壁一面を埋め尽くしていたのは、かつて記者も働いたことがある、あの懐かしき「ニッケイ新聞」ではないか!
「ニッケイ新聞」は、1947年創刊の「パウリスタ新聞」と1949年に分派した「日伯毎日新聞」が1998年に合体して誕生した邦字紙だ。惜しまれつつも2021年12月、コロナ禍の荒波に押されて幕を閉じたが、その遺伝子は現在の「ブラジル日報」へと受け継がれている。壁を覆う紙面は、斬新なデザインの中に、時を経て色褪せたノスタルジックな哀愁を漂わせていた。
現在、ブラジル唯一の邦字紙となった「ブラジル日報」を取り巻く環境は、決して楽ではない。だが、読者の声に耳を傾け、知恵を絞り抜くことで、いつの日かこの「ニッケイ新聞」のように誰かの心に深く刻まれ、「令和の象徴」として語り継がれる存在になりたい――。記者は、空港の喧騒の中で静かに背筋を正した。
読者の皆さんも、旅の途中でグアルーリョス空港に立ち寄った際は、ぜひ「ゲンダイ」を覗いてみては。そこには、懐かしい記憶と新しい発見が交差する、熱いドラマが待っているはずだ。(淀)








