《サンパウロ州》水害被災市の危険家屋=死者の出た5市で5万7千軒

7日朝、大気の状態が不安定で、南東部4州やゴイアス州、マット・グロッソ・ド・スル州、パラナ州では今後数日間、ところにより100ミリ超という豪雨の可能性があるとの予報が出た。これらの州の中には、先月からの雨で地盤が緩み、土砂災害が起きやすい状態が生じているところもあり、要注意だ。
土砂災害が起こる可能性がある地域は全ての州にあるが、4日には、1月の豪雨で死者が出たサンパウロ市周辺部の五つの市には、ハイリスクの場所に建つ家が5万7千軒あるとの報道もあった。
4日付R7サイトによると、サンパウロ市近郊にあり、1月最後の週末の豪雨で死者が出た5市の場合、危険地域に建つ家は5万7303軒で、内1万9350軒(33%)は危険度が高いまたは非常に高い地域に建っているという。
危険地域に建つ家最多はイタペヴィの2万1198軒で、フランコ・ダ・ロッシャ1万9444軒、フランシスコ・モラット6715軒、アルジャー5266軒、エンブー・ダス・アルテス4680軒と続く。
これらの数字は、サンパウロ州環境局が2020年にメトロポリタン地区38市で行った調査によるものだ。38市全てだと57万8238軒が危険地域に建っているという。
3日付G1サイトは、サンパウロ市を含む39市だと、土砂災害が起こり得る地域に建つ家は75万軒に及ぶと報じた。
1月末の雨では、内陸部のリベイロン・プレット、ヴァルゼア・パウリスタ、ジャウーでも死者が出た。豪雨による死者は、4日に見つかった最後の行方不明者までで34人となった。
1月末の豪雨での死者最多はフランコ・ダ・ロッシャの18人で、土砂崩れによる家屋倒壊といった土砂災害が目立った。ヴァルゼア・パウリスタでも5人、フランシスコ・モラットでも4人のように、土砂災害による死者が続出した。
1日に同州の被災地を視察したボルソナロ大統領は「危険な場所に家を建てるから被害が大きくなるんだ」と発言したが、これらの市ではここ30年間で人口が急増しており、丘の中腹、川の傍のように、土砂崩れや浸水の被害が出やすい危険地域での家屋建設も増えていた。
例えば、フランシスコ・モラトでは、1990年は7万4699人だった人口が2020年は17万4403人に134%増加。フランコ・ダ・ロッシャでも、8万1千人が14万8千人に87%増えた。エンブー・ダス・アルテスは14万8千人が27万人に82%増えている。
今回は死者が出ていないが、近年は土砂災害による死者も出ているマイリポランは人口が193%増えたし、洪水被害が頻繁に起きているカイエイラスでも、人口は170%増えている。
これらの町はサンパウロ市のベッドタウンとして人口が急増してきたといえる。同州では4日現在で14市が緊急事態を宣言していたが、危険地域に住む人の保護やこれらの人向けの住居対策は、今後も続く重要課題だ。