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《ブラジル》連警がネット犯罪の背後に憎悪部隊と指摘=捜査継続か、大統領には手痛い展開へ

2022年2月12日

カルロス氏(ALERJ)
カルロス氏(ALERJ)

 フェイクニュースに関する捜査担当の連邦警察警部が10日、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事に中間報告書を提出した。同警部は、政敵攻撃や虚報拡散は大統領次男カルロス氏が率いる「憎悪部隊(ガビネッテ・デ・オジオ)」のシステムを使って行われていたとし、捜査の継続も希望している。10、11日付現地サイトが報じている。
 最高裁は2020年にモラエス判事の下で「フェイクニュース」と「反民主主義行為」に関する捜査を開始。同件の捜査は翌21年に発展的解消をし、「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」捜査に切り替わった。捜査対象には、ボルソナロ大統領や息子たちも含まれている。今年は選挙年であるため、対策がより厳しくなっている。
 今回の報告書の作成者はデニッセ・リベイロ警部だ。同氏によると、ネット犯罪者らは政治的、イデオロギー的、経済的利益を得るため、様々なデータを捏造し、事実と異なる虚報を拡散して政敵攻撃した。その際、大統領府内にある憎悪部隊が指揮系統となり、そこからのネットワークを通して様々なネット媒体に爆発的に発信されて、多方面に行き渡らせていたと疑われている。
 デニッセ警部は、今は誰がそれを操っており、何をやっているのかの詳細特定の段階だとしている。だが彼女自身は14日から産休に入るため、後任者が作業を受け継いでくれることを望んでいる。
 同警部によると、ボルソナロ大統領が毎週木曜日に行っているライブで、証拠もなく、選挙高裁に不正があると言いふらす方法は、ネット犯罪捜査の対象となっている大統領支持者たちが行っているやり方と強い類似点があるという。

 同警部は「情報拡散に関する入念な準備と調整の跡が見られる」と分析。選挙不正の虚偽情報に関するライブでは、スタッフに憎悪部隊のメンバーがいたと報じられている。
  「クロロキンやヒドロキシクロロキンを使った新型コロナウイルス感染症の早期治療の効用」についての虚報が話題になった時も、同様の傾向が見られたという。
 デニッセ警部は、情報収集に国家組織を使うという提案を含む、政敵や裏切り者とみなす人物に関する書類などにも言及している。
 同警部は大統領派の企業家のオタヴィオ・ファコウリ氏と、社会自由党(PSL)サンパウロ州支部を仕切り、熱狂的なボルソナロ派のアンジェリア・マシリア・ロペス氏が、セルジオ・モロ元法相とロザンジェラ夫人の情報について語っている会話の例を挙げている。
 二人はそこでアレッシャンドレ・ラマジェン氏のブラジル情報庁(ABIN)長官就任を祝っている。新長官はモロ氏が20年4月に連警のトップ人事をめぐって激怒、辞任した際、大統領が強硬に連警長官にしようとしたが、大統領一家との密接な関係を理由に却下された人物だ。
 この報告書は、選挙高裁へのハッカー攻撃に関する情報をライブで漏洩したことに関する捜査で、大統領を捜査対象とすることをモラエス判事が許可した週に提出されており、ボルソナロ氏には手痛い材料といえる。


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