《ブラジル》ふらつくPSBにアウキミン困惑=PTと連立破談、足元固まらず=仕方なくPVと交渉開始

ブラジル社会党(PSB)が大統領選で、サンパウロ州元知事のジェラウド・アウキミン氏をルーラ元大統領の副候補には立てるが、PTとの連立(フェデラソン)を行わないと発表。それを受け、アウキミン氏はPTとの連立が決まっている緑の党(PV)との交渉を始めている。9〜11日付現地紙、サイトが報じている。
「アウキミン氏がPSBに入党内定」との報道は7~8日に行われた。だが直後の9日、PSBはPTとの連立を行わないと発表した。それは、「アウキミン氏をルーラ氏の副候補にするが、PTとは連立しない」という不可解なものだった。
PSBが連立を諦めたのは、「知事選」と「連立党内における当選議員数の割り当て」に関するPTとの話でおり合えなかったためだ。フェデラソンは従来の「連合(コリガソン)」に代わる協力体制で、今後4年間は国と州の双方のレベルで協力関係を維持する必要がある。
複数のメディアによると、サンパウロ州選出の同党下議のタバタ・アマラル氏が8日、企業家との会合でPTとのフェデラソンを強く批判していたという。タバタ氏は、自分の恋人で同党創立者の一族でもある、ペルナンブッコ州州都レシフェ市長のジョアン・カンポス氏と共におり、「PT側の提案はことごとく良くない」「サンパウロ州支部はみなフェデラソンに反対」と語ったという。
PSB側は彼女の言動を否定しているが、PSBとPTのフェデラソンがなかなか決まらなかった原因の一つは、タバタ氏は2024年のサンパウロ市市長選出馬を望んでおり、今回の選挙でフェデラソンを組むと彼女に不利になるためだとかねてから指摘されていた。
他方、PT側もPSBが2月に打ち出した協働案に不満があり、9日にもたれた会合が物別れに終わったともいわれている。
PSBとPTのフェデラソンが流れた2日後、アウキミン氏がPVとの入党交渉に応じたと報じられた。PVはブラジル共産党(PCdoB)と共に、PTと連立を組むことが決まっている。
この会合はPVのジョゼ・ルイス・ペナ党首本人が「まさか今、交渉に応じるとは」と語るほど意外なものだった。アウキミン氏は7日にPSBと話し合った際、「ルーラ氏とのシャッパやPTとの連立が壊れることはないか」と尋ね、同党幹部から「心配しなくていい」との返答をもらったのに連立が不成立となった。PVとの交渉はPSBへの不満を窺わせるものとなった。
アウキミン氏の行動はPSBを驚かせた。同氏がサンパウロ州知事時代の副知事でサンパウロ州支部長のマルシオ・フランサ氏は、「アウキミン氏はすでにPSBに移籍してくる側近のリストも渡している」とし、PSB入りは揺るがないと主張している。
PSBとPTの連立が流れたことで、PSB内では不満も募っている。一部報道によると、同党下議約10人が離党する可能性まで出ているようだ。
また、党創立一族のお膝下のペルナンブッコ州知事選の世論調査では、同党のダニーロ・カブラル氏が7%ほどの支持で4位に甘んじている。同州ではPTのウンベルト・コスタ上議が、30%以上の支持率があったにも関わらず、PSBの意向で出馬を断念した経緯があり、ちぐはぐな部分を露呈している。