《ブラジル》教育相はナンバー2が暫定代行=スキャンダル払拭には弱い人事=ボルソナロ政権5人目の教育相

ボルソナロ大統領は29日、前日教育相を辞任したミウトン・リベイロ氏の後任に、ヴィトル・ゴドイ・ヴェイガ氏を暫定指名した。いずれ正式な任命があると思われる。教育相のトップが交代するのは、ボルソナロ政権で5人目となる。29、30日付現地紙、サイトが報じている。
この交代は、先週から話題となっていた、福音派ロビイストたちによる教育省の「影の内閣」のスキャンダルを受けた引責によるものだ。
影の内閣の中心とみられるペンテコステ系福音派の「アッセンブレイア・デ・デウス」のジウマール・サントス、アリウトン・モウラ両牧師は、同教団の教会に協力する市に資金援助を優遇するよう教育相に掛け合う一方、複数の市に賄賂を要求。また、その影の内閣にリベイロ氏が積極的に関与し、国立教育促進基金(FNDE)を職権濫用した疑いが持たれた。
同件の捜査は24日に最高裁のカルメン・ルシア判事が許可。25日には連警が捜査を開始した上、福音派教会の指導者たちも証拠続出を受けて更迭に同意したことで、リベイロ氏も辞任を余儀なくされた。
後任については、連邦政府の中のセントロン勢力と軍が動き、大統領に推薦を行おうとした。CNNブラジルやエスタード紙などによると、彼らは後任候補として航空技術院(ITA)の学長を務めるアンデルソン・コレイア氏の可能性を探っているという。コレイア氏と同氏側近は29日、セントロン関係者や海軍関係者が接触を図っていたことを認めている。
コレイア氏は2020年7月にリベイロ氏が教育相に選ばれた頃、福音派団体が教育相候補に強く期待した人物でもあった。セントロンや軍としては、今回のスキャンダルがボルソナロ氏の大統領選に響かぬよう、福音派の悪印象を拭うことを考えての行動だった。
だが、大統領が30日付の連邦政府官報で発表したのは、リベイロ氏の片腕役の教育省ナンバー2のゴドイ氏だった。ゴドイ氏は2020年7月にリベイロ氏が教育相に就任した時に教育省に入閣した人物だ。
ゴドイ氏はブラジリア連邦大学でネット通信のデータ学を専修。2004年から20年にかけては国庫庁(CGU)に勤務していた。CGUでは連邦政府の予算に関する監査役を務めていた。ただ、ナンバー2がそのまま昇格するだけではスキャンダルの悪印象が払拭できないことに関する不安の声は少なくない。
教育相はボルソナロ政権の泣き所で、政権発足以来、既に4人が入れ替わっている。最初の2人、リカルド・ヴェレス・ロドリゲス氏とアブラアン・ウェイントラウビ氏は共に、極右思想家のオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の弟子で、左翼弾圧や中国人への人種差別発言などで物議をかもし続けた。
大統領はオラーヴォ派の人事から離れたものの、続くカルロス・アルベルト・デコテッリ氏は学歴詐称がスキャンダルとなり、指名受諾直後に辞任。それを受け継いだ福音派牧師でもあるリベイロ氏は、福音派絡みのスキャンダルで自らの経歴まで汚してしまった。