《ブラジル》大統領が女性への暴力防止計画裁可=治安のための国家計画に統合

ボルソナロ大統領が5日、女性への暴力防止と闘いのための計画を治安と社会防衛のための国家計画に統合する法令を裁可し、官報に掲載したと同日付現地サイトが報じた。
新型コロナのパンデミックが始まった2020年以降、外出規制や在宅勤務増加などで一つ屋根の下で過ごす時間が長くなったせいか、家庭内暴力や女性殺人といった報道が相次ぎ、女性への暴力への関心が高まった。
治安と社会防衛のための国家計画に統合される事になった女性への暴力防止計画は、女性への暴力予防と被害者へのケアのための活動や戦略、目標などを定めるものだ。実際の活動は、国や連邦自治体、地方自治体の機関が連帯して実施する。
女性への暴力防止計画に関する法案は、下院で承認後、上院での審議に回された。上院は同法案を女性に対する暴力を終わらせるための21日間の優先議事の一部として扱い、3月に承認。大統領の裁可を待っていた。
女性への暴力防止のための法律には、家庭内暴力を抑制するためのマリア・ダ・ペーニャ法や女性殺人を通常の殺人より重罪とする法律などがあるが、今回の計画は国の治安コントロール計画に統合されており、より具体的な対策の強化が可能となる。
コロナ禍での生活環境の変化はストレスの高まりなどによる家庭内暴力や家庭崩壊なども招いた。また、離婚や失恋で伴侶を失う事に耐えられなくなった男性が、相手を殺して自殺するといった事件も多発している。
5日には、恋人を3日間軟禁し、暴行、虐待を繰り返したリオ市在住の男性が逮捕された他、4日に家庭内暴力で現行犯逮捕されたミナス州の男性が、5日に電子足環をつけて留置場を出てから数時間後に妻を刺殺するという事件も発生。女性は16カ所刺されており、内9カ所は顔面を狙ったものだった。
サンパウロ市では3日、31歳男性が29歳の婚約者を殺して自殺、15歳になる婚約者の息子が2人の遺体発見という事件も起きている。