《ブラジル》片親家庭の父親に育児休暇=最高裁も認め、判例扱いに

最高裁が12日、母親がいない家庭の父親が180日間の育児休暇を取る事を全会一致で承認したと同日付現地サイトが報じた。
報告官のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は、親の一人がそばにいてくれる事は生後間がない乳児の権利と主張。それを全員が認めたもので、同様のケースにも適用される判例扱いとなる。
審理対象となったのは、人工授精後の受精卵を米国人による代理出産で双子を得た男性の例で、片親であるため、180日間の育児休暇が認められた。
第一審の担当判事はこの例は稀なケースだが、母親が死亡したりして父親が一人で子供をみなければならない例は他にもあるという理由で、育児休暇の取得を認めた。
第3地域裁も同じ判決を出したが、国立社会保障院(INSS)が、産休とその間の給与付与は妊婦が対象で、対応する資金源のない支払いは憲法違反にあたり、財政上の被害ももたらすとして最高裁に上告していた。
だが、最高裁は母親が死亡した場合は父親にも120日間の育児休暇を認める事は労働法でも定められているし、審理例の男性も母親不在である事で育児休暇取得を認めた。
労働法では女性に産後120日間の育児休暇を認めている上、企業市民活動プログラムでは、企業が同額の税額控除と引き換えに60日間の有給休暇を与える事を認めている。
ブラジルでは父親の名前が記載されていない出生証明書を持つ子供が増えており、片親家庭の増大は社会保障政策上の問題でもある。
ルイス・フクス長官は、公的機関は「国民の選択を方向付ける事はできないが、障害を取り除く事はできる」との表現で、同様の問題にも取り組んでいく必要を説いた。