《ブラジル》アグロビジネスは好調?=信頼感指数は上昇するも=ウクライナ危機で懸念拡大

サンパウロ州工業連盟(Fiesp)が18日、第1四半期(Q)のアグロビジネス信頼感指数(ICAgro)は111・5ポイント(P)で、昨年第4Qを1・9P上回ったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
ICAgroは0~200で表現され、100以上だと肯定的評価とみなされる。第1Qの指数は前期比増だが、昨年同期より5・9P低下している。
信頼感指数が前期を超えたのは、食品メーカーや輸出業者などの「デポイス・ダ・ポルタリア」と呼ばれるグループでの信頼感の高まりが原因だ。農業生産に必要な資材を投入する「アンテス・ダ・ポルタリア」の企業関係者や農牧業に従事する生産者の間の信頼感指数は低下している。
企業関係者全体の信頼感指数は前期比で5・2P増の114・5Pだが、アンテスグループでは3・7P減の107・7P、デポイスでは9・0P増の117・4Pだった。
アンテスグループの数字低下は、大半のアンケートが3月に行われ、ウクライナ危機による肥料の供給や価格変動に関する見通しへの不安が広がっていた事が原因のようだ。
デポイスグループの数字上昇もウクライナ危機と関係があり、農産物や加工品の輸出が盛んになると見込まれたからのようだ。Fiespのアグロビジネス部門担当理事のロベルト・ベタンコウト氏は、「農産物関連の輸出が順調な事が信頼感指数を押し上げたようだ」と語っている。
他方、生産者の信頼感指数は2・8P減の107・2Pだった。農業生産者だけ見ると2・9P減の109・1Pで、農産物価格が上昇した反面、肥料の値上がりと肥料不足への懸念が拡大、パラナや南大河などでの穀物減産も響いたようだ。
牧畜業者の指数は2・6P減の101・4Pで、子牛の値上がり、穀物や尿素の値上がりで生産コスト高騰が懸念される事、農業関連融資の条件悪化が影響したようだ。生牛先物価格は年頭から実際の市場価格を下回っており、生産者価格上昇が状況緩和に繋がっていないという。
ICAgroの調査は14年に始まり、経済危機と大統領罷免劇の起きた15年7~9月は34・5P、トラックストの起きた18年第2Qは67・7Pなど、危機的状況になった場合の多くは100未満だった。