《ブラジル》GDP第1四半期は1%成長=サービス業の回復が牽引=農業は干ばつの影響残る

地理統計院(IBGE)が2日、第1四半期(Q)の国内総生産(GDP)は前期(2021年第4四半期)比で1%成長し、2・249兆レアルに達したと発表したと同日付現地サイトが報じた。
第1QのGDPは昨年同期比で1・7%、12カ月間で4・7%成長。現在は2019年第4Qも1・6%上回り、コロナ禍前の水準を超えたが、2016年の経済危機前の水準には戻っていない。
新型コロナのパンデミックが始まってからの経済活動は、緊急支援金支給などで2020年第3Qから回復し始めた。昨年の第2Qは感染第2波で0・2%のマイナス成長となったが、その後は0・1%、0・7%と成長が継続。第1Qはオミクロン株の感染拡大にも関わらず1%成長した。
第1Qの成長を牽引したのは前期比で1%成長したサービス業で、工業も0・1%成長したが、農業は0・9%のマイナス成長となった。
サービス業は、交通・運輸の2・1%増や宿泊や外食の2・2%増でも分かるように、ワクチン接種の進展や外出規制緩和その他で、イベントや旅行、外出が増え、回復が進んだ。それでもまだコロナ禍前の水準には戻っていない。
他方、工業はオミクロン株の影響などでチップその他の中間財が世界的に不足したりして、自動車産業を含む製造業が低迷。中国の経済活動停止などもあって鉱業も振るわず、全体の成長の足を引っ張った。
農業は、南部を中心とする干ばつで減産となった作物が出た事などでマイナス成長となった。
サービス業やGDPの成長を促した主要要因は家庭消費の0・7%増で、公共支出も0・7%増えた。だが、成長のけん引役の投資は、資本財の生産や輸入の低下などで、前期比で3・5%、昨年同期比では7・2%のマイナスとなった。資本財の生産と輸入の低迷は、人件費や公共工事の増加で生じた建設業界の成長を打ち消した。輸出は5%増えたが、輸入は4・6%減少している。
専門家は、就労者数が史上最多となる一方で、実質所得が減少している事や高インフレ、経済基本金利(Selic)引き上げなどで、今後の成長速度は鈍る可能性を指摘。サンタンデール銀行では、今年のGDPは1・2%成長するが、2023年はリセッション(景気後退)が起こる可能性もあると見ている。