《ブラジル》虚報拡散州議が最高裁で再び罷免に=大統領派判事が抵抗するも=全体審理は未完結だが

【既報関連】最高裁第2小法廷は7日、選挙に関する虚報拡散で選挙高裁に議席を剥奪されたボルソナロ大統領派のフェルナンド・フランシスキーニ・パラナ州議の罷免撤回の是非を審理した。そこでは過半数が2日にカシオ・マルケス同裁判事が下した任期回復の司法判断に反対し、フランシスキーニ氏は再罷免された。7、8日付現地紙、サイトが報じている。
最高裁はカシオ判事の司法判断に関連する全体審理を、7日午前0時からヴァーチャルで始めた。全体審理はカルメン・ルシア判事の要請を受け、フクス長官が決めたものだ。
だが、報告官のカルメン・ルシア判事が任期回復に反対を唱え、選挙高裁現長官のエジソン・ファキン判事と次期選挙高裁長官のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事がそれに賛同した時点で、アンドレ・メンドンサ判事が見直しを要請し、審理が中断した。
一方、カシオ判事がフクス長官の意向に反して召集した第2小法廷での並行審理は、同日午後2時から対面方式で行われた。
第2小法廷は、ボルソナロ大統領派のカシオ、メンドンサ両判事と、大法廷での審理を要請したカルメン判事らがおり、緊迫した空気が流れた。
第2小法廷は司法判断の是非が審理され、報告官はカシオ判事が務めた。同判事は2021年10月に選挙高裁がフランシスキーニ氏を罷免した理由は2018年選挙での虚報拡散で、当時はネットでの虚報は違反対象ではなかったとして司法判断を正当化した。
メンドンサ判事は「20分程度のネット上のライブに有権者の意見を左右する力はない」とし、カシオ判事の判断を支持した。
だが、ファキン判事は「この審理は大法廷で行うべきだった」としてメンドンサ判事に不満を示し、カシオ判事の判断も「憲法に反する行為を認め、民主主義を脅かす可能性を与えてしまった」と批判し、反対した。リカルド・レヴァンドウスキー判事も「選挙高裁の判決という重要問題は全体審理が必要で、1判事の判断で決めるべきではない」と語って、反対した。
ジウマール・メンデス判事も反対票を投じたため、3対2でカシオ判事の司法判断は覆り、フランシスキーニ氏の罷免が決まった。メンデス判事の物言いは痛烈で、「自分も当選した選挙で国民の投票を任された電子投票を疑う可能性を切り拓くことなど、許されるものではない」とし、暗黙の内にボルソナロ大統領を批判した。
フランシスキーニ氏は18年に、ボルソナロ氏を当選させないよう電子投票機に細工がされていたと証拠もなく主張していた。
最高裁の判決が出た際、ボルソナロ大統領は大統領官邸でのイベントの最中だったが、途中でさえぎってこの結果に不満を示し、最高裁と選挙高裁を批判。「自分も彼と同じことを語った。彼は間違っていない」と声高に強調した。
フランシスキーニ氏もビデオで、「最高裁での特別抗告の審理は続いている」「42万7千人のパラナ州民の信任で得た任期は終わらない」「表現の自由のための戦いは続く」と最高裁を挑発した。