《ブラジル》テベテ氏でようやく3党連合が一本化=ドリア辞退後も混沌続く=理由はリオ・グランデ・ド・スル知事選

民主社会党(PSDB)と民主運動(MDB)、シダダニアが、3党連合による大統領候補をシモーネ・テベテ上議(MDB)とすることで合意した。候補一本化は5月下旬の見込みだったが遅れた。副候補はタッソ・ジェレイサッチ上議(PSDB)となりそうだ。8、9日付現地紙、サイトが報じている。
この合同候補案は、「ルーラ元大統領やボルソナロ大統領とは異なる第3の候補を」との目的で、PSDBとMDBとウニオンがはじめたものだ。PSDB、MDB、ウニオンの前身の一つの民主党(DEM)はみな、民政復帰後からの老舗政党で、18年選挙で大敗して失った威信を取り返す目的があった。
だが、ウニオンは、党首のルシアノ・ビバール氏がセルジオ・モロ氏を推そうとしたが、党内の強い反対を受けて失敗。ビバール氏自身が出馬宣言して連合を撤退した。
他方、PSDBは昨年11月の党内選挙で大統領候補に選ばれたジョアン・ドリア氏が出馬を断念しており、MDBのテベテ氏だけが残っていた。PSDB党内でも反ドリア派がテベテ氏擁立に動き、反ドリア派でもあったタッソ氏が調整役となっていた。
テベテ氏での候補一本化は5月24日のPSDB、MDB、シダダニア各党の役員会議で決まる予定だった。だが、PSDBの一部が抵抗を示した。同意しなかったのは党内選挙で2位だったエドゥアルド・レイテ氏擁立派で、2014年の大統領候補だったアエシオ・ネーヴェス氏らがこだわりを見せた。PSDBには民政復帰以降、すべての大統領選に候補を擁立。1994〜2014年の6期連続で決戦投票に進出してきたという伝統もある。
だが、レイテ氏は4月に大統領選出馬を断念すると宣言後、リオ・グランデ・ド・スル州知事選で再選を狙う意向を固めた。その背景には、レイテ氏が謀反を起こしてドリア氏から大統領候補を奪うのではと報じられたことがあった。だが、これで別の問題が生じていた。レイテ氏がリオ・グランデ・ド・スル州知事選を目指すことで、MDBから出馬する予定だったガブリエル・ソウザ氏が知事選を断念せざるを得なくなったためだ。
PSDBとMDBはソウザ氏に、レイテ氏の副候補になることなどを持ちかけたが、ソウザ氏が拒んだため、時間がかかっていた。MDBは同州で伝統的に多くの知事を輩出していたためだ。
MDBの内部では、ペルナンブッコ州や南マット・グロッソ州でもテベテ氏の一本化に難色を示す動きがあったため、PSDBのブルーノ・アラウージョ党首が「MDBが問題を解決できないならPSDBで候補を出す」とも言い始めていた。
だがソウザ氏が「副候補は受け入れないが、党のために尽くそうとは思う」と態度を軟化させたことで、PSDBが「テベテ氏で合意」と受け止め、合意が成立した。
PSDBは9日の役員会議でテベテ氏擁立を認めたが、副候補の件は改めて話し合うことになったようだ。
現在のテベテ氏は世論調査でも1〜2%の支持率で5番手。「第3の候補」の意義が問われているが、遅れていた一本化成立で巻き返しが図れるかが注目される。