《ブラジル》前教育相「前もって逮捕を知っていた」大統領が捜査介入と漏洩?=ロビイストは爆弾発言を予告

【既報関連】22日に逮捕されたミウトン・リベイロ教育相が逮捕される約2週間前、大統領からの電話で「捜査されるかもしれない」との連絡を受けたと娘に告げていたことがわかった。24〜26日付現地紙、サイトが報じている。
24日、リベイロ氏の携帯電話を連邦警察が盗聴したものが一斉にメディアに流れた。これは6月9日にリベイロ氏が娘にあてた通話だった。
リベイロ氏「今日、大統領から電話があった」と切り出し、「私が捜査されたあとに自分(大統領)も捜査されるのではないかと心配している口ぶりだったよ」と話した。娘が「大統領はお父さんにメッセージを送らないよう求めているということ?」と尋ねると、「そういうことじゃない。家宅捜査されそうだと言うんだ。悲しいよ。そんなことが起こるとはね。証拠があれば起こってしまう。でもなぜなんだ」と語っている。
リベイロ氏が逮捕された22日当日にも、リベイロ夫人が捜査されることをすでに知っていたことが報じられていた。今回の報道は、これを裏付けるものとなった。
この報道で、ボルソナロ大統領が連邦警察の捜査の内容を事前に知っていた疑惑が浮上した。ボルソナロ氏はこの盗聴が行われた9日、米国のバイデン大統領と会談するために米ロサンゼルスに滞在していたが、この際、連邦警察を管轄するアンデルソン・トーレス法相も帯同している。
トーレス法相は「米国では連警の捜査のことなど語っていない」と否定。ボルソナロ大統領も「自分が関与している痕跡など全くない」と語ったが、22日には「罪を犯したなら償わないと」だった元教育相への見解は、「彼は不当に逮捕された」に変わっている。
だが、連邦検察庁では、通話内容から、大統領が連警捜査に干渉しているのではないかとの疑いを深め、捜査の可能性を示唆している。大統領の連警への捜査介入疑惑はこれだけではない。2020年4月には、「リオ支部だけは自分にくれ」と強要した疑惑などでセルジオ・モロ法相(当時)が辞任した。このときは、自身の長男や次男への連警の捜査を恐れていたのではないかと囁かれた。
今回の教育省を巡るスキャンダルでは、大統領の名前への言及以外にも連邦政府を不安がらせる要素が強い。リベイロ教育相と同様に22日に逮捕された福音派ロビイストのアリウトン・モウラ容疑者は逮捕の際、「もし、妻や娘たちに何かあったら全てをメチャメチャにしてやる」と爆弾発言を予告し、さらなる大型スキャンダルになる可能性を秘めている。
連警はこれまで、アリウトン容疑者と同じく福音派ロビイストのジウマール・サントス容疑者がブラジリアのホテルに教育省の名前で63回も宿泊していたこと、内10回はリベイロ氏の元側近のフレイタス・ムッセ氏が共に宿泊していたことなどをつかんでいる。
アリウトン容疑者の身内の口座では、企業からの賄賂とみられる1万7千レアルの入金も確認されている。