《ブラジル》ICMS上限法=拒否権行使の上で裁可=連邦自治体が見直し要請=選挙睨んだ課税率修正も

【既報関連】ボルソナロ大統領が、燃料価格や電気代、通信、公共交通機関の料金などへの商品流通サービス税(ICMS)の課税率を17~18%に制限する補足法案(PLP18/2022)を裁可し、24日付連邦官報に掲載した。
だが、同法適用は7月1日からとする司法判断が17日に出た事などで、連邦自治体(以下、州)や財務局長委員会(Comsefaz)が最高裁に訴えている。また、知事達の要請を受けたジルマル・メンデス最高裁判事が、28日に連邦政府と州の会合を開く事を決めたと24~27日付現地紙、サイトが報じた。
ICMSの上限設置は、州やICMSの25%を受け取る市の税収減を意味するため、下院では、税収が5%以上減った州には国への負債返済時に相殺する形での補償を認める案を加えて承認した。
だが、上院がこの項目などに修正を加えて承認。下院での再審議後に裁可待ちとなっていた。だが、大統領は補償に関する項目の復活はおろか、基礎教育開発基金(Fundeb)を含む教育費や保健衛生費への振り分けに拒否権を行使。教育・保健関連に使われるICMSは300億レアルの減額となると見込みだ。
ICMSに関する問題はだけではない。それは、アンドレ・メンドンサ最高裁判事が17日に、Comsefazが決めたICMSの額を無効とし、7月1日からICMSの上限を適用する事と、課税率凍結期間は12カ月間とする司法判断を出したからだ。
知事達がこれに対する不服を申し立てたため、メンデス最高裁判事は24日、28日に国と地方の合意を図るためのオンライン会合を開く事を決めた。同判事は総弁護庁(AGU)からの州条例停止要請も扱う事になっている。Comsefazは27日も詳細な対策案をまとめて最高裁に訴える意向を示した。
なお、インフレ高進抑制と健全な財政維持は10月選挙で再選を目指す大統領と知事達の共通の関心事で、公共交通機関の料金凍結などを行っている自治体も多い。サンタカタリーナ州と連邦直轄区は電気代や通信費へのICMS引き上げを最高裁から差し止められた。他方、サンパウロ州は27日、ガソリン代へのICMSを25%から18%に引き下げた。