site.title

《ブラジル》カリウム=調査や採掘の許可申請急増=ウクライナ危機の影響で=高い外国依存度を低減へ

2022年7月5日

カリウムに関する調査や採掘の許可申請数の推移(4日付エスタード紙の記事の一部)
カリウムに関する調査や採掘の許可申請数の推移(4日付エスタード紙の記事の一部)

 2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻後、国際的な肥料不足への懸念が広まったが、ブラジルでは肥料の主要原料の一つのカリウムに関する調査や採掘に関する許可申請が急増していると4日付現地紙が報じた。
 ブラジルは肥料の外国依存度が高く、昨年は国内で使う肥料の85%を輸入した。また、輸入肥料の23・3%はロシア産の品だった。
 この事はウクライナ危機で肥料不足への懸念が急拡大した最大の原因だ。テレーザ・クリスチーナ農務相(当時)は国外に出向いて直接交渉し、肥料確保に務めた。3月には、国内での肥料の開発、生産を促し、外国依存度を減らす事などを盛り込んだ国家肥料計画の策定と大統領令発効も行われた。
 そのような中で加速したのが、肥料の主要原料のカリウム採掘のための調査、採掘の許可申請急増だ。
 国家鉱業監督庁(ANM)によると、上半期に出された許可申請は50件で、過去10年間で最多だという。連邦政府が肥料不足を懸念し始めた2021年は年間9件で、2013年以降の平均は年間14件だった。
 許可申請提出数最多はアマゾナス州で、ゴイアス、バイア、セルジッペ、ピアウイ、ミナスといった州からも出ているという。
 ただ、アマゾナス州で見つかった高濃度のカリウムを含む岩石の鉱脈は地下800メートルの所にあり、ボーリングなどの調査活動だけで2~3カ月、採掘から肥料の商業生産に至るまでの投資は10億レアル以上など、実際の需要に応えられるようになるまでには時間も金もかかる。
 他方、大掛かりな調査や採掘プロジェクトが環境破壊や景観の変化を生む事を恐れる自治体もある。一例は採掘許可申請が2件出ているミナス州アンドラダスだ。この地域は鉱脈が浅い所にあり、採掘で景観が大きく損なわれれば、主要産業の観光業が成り立たなくなる。また、生活環境や労働環境も大きく変わるため、市民が抗議活動を行っている。
 ロシアのプーチン大統領は6月末にボルソナロ大統領と電話で話し合い、ブラジル向けの肥料の輸出継続を約束したが、それでもなお、国際社会の目や約束、必要量が満たせるかなど、気がかりな事はたくさん残っている。


《ブラジル》CAIXA前頭取にパワハラ疑惑も「ここには民主主義なんてない。俺が全てを決める」違法に4倍の役員報酬を懐に前の記事 《ブラジル》CAIXA前頭取にパワハラ疑惑も「ここには民主主義なんてない。俺が全てを決める」違法に4倍の役員報酬を懐に《ブラジル》バイア州独立記念日に大統領候補4人が揃い踏み=ルーラら3人は記念式典参加=ボルソナロはモトシアッタ敢行次の記事《ブラジル》バイア州独立記念日に大統領候補4人が揃い踏み=ルーラら3人は記念式典参加=ボルソナロはモトシアッタ敢行
Loading...