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《ブラジル》ICMS上限設定を21州とDFで今月実施=燃料代など大幅に下がるも州や市に損害で不満増大

2022年7月6日

給油のイメージ(Twitter)
給油のイメージ(Twitter)

 5日までに全国の21州と連邦直轄区(DF)で、燃料に対する商品流通サービス税(ICMS)の課税率の17〜18%への引き下げが適用され始めている。これで燃料の高騰は当面は抑えられた形となっている。3~5日付現地紙、サイトが報じている。
 このような形で燃料代などが抑えられているのは、6月中旬に連邦議会が燃料や天然ガス、光熱費、通信費、公共交通料金にかかる州税ICMSを18%までに収める法案を承認し、ボルソナロ大統領が裁可したこと、また、議会での承認後に最高裁のアンドレ・メンドンサ判事がICMSを一律化する命令を下したためだ。
 ICMSは州の税収の86%を占めるため、州はこれに難色を示し、訴訟を起こす動きもあった。特に、燃料価格に関してはICMSの課税率が30%を超えていた州もあった。だが、メンドンサ判事の判断が覆ることはなく、今月1日から命令が有効となった。
 これにより、5日現在で21州とDFでICMSの上限が採用されはじめた。採用していない州は、ピアウイ州、パラー州、マット・グロッソ州、マット・グロッソ・ド・スル州、アクレー州の5州のみで、南東部や南部ではすべての州で採用となっている。
 たとえばサンパウロ州では6月27日にロドリゴ・ガルシア知事の判断で上限採用に踏み切り、ガソリンに課されていたICMSを25%から18%に下げた。これにより、サンパウロ州は44億レアルの税収減になるという。
 リオ州でも1日にクラウジオ・カストロ知事が上限採用の判断を行い、国内最高だったガソリンへのICMSを32%から18%に落とした。これで同州内のガソリン代は1・19レアル/リットル安くなり、通信費、光熱費に関しても100レアルにつき14レアルの値下げにつながっている。
 ミナス・ジェライス州も、上限を採用するまではガソリンで31%、光熱で30%、通信で27%だった課税率が18%に引き下げられている。
 リオ・グランデ・ド・スル州でも1日にICMSの計算をやり直し、燃料、光熱、通信、公共交通料金への課税率を5月までの5カ月間の17%に抑えると発表。それにより、平均4・84レアルだったICMSの計算上のベースは3・90レアルに下がった。ディーゼル油の場合は0・11レアル/リットル安くなった。
 だが、一方で州知事たちは最高裁に、ICMSの上限設定は「違憲」だとして訴えを起こしている。訴えを起こしたのはペルナンブッコ、マラニョン、パライバ、ピアウイ、バイア、マット・グロッソ・ド・スル、リオ・グランデ・ド・スル、セルジッペ、リオ・グランデ・ド・ノルテ、アラゴアス、セアラーの11州とDFだ。
 これらの連邦自治体は上限設定でこうむる税収減に対する不満のみならず、州税の課税率を国や議会が決めたことや、「5%以上の税収減が生じたら国が補填する」「損害が5%に満たない場合は州から市への補填義務はない」との条項への拒否権行使などで「補填発生を実質的に制限した」ことなどを問題視している。


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