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《ブラジル》選挙高裁が8月に最新電子投票機をテスト=執拗に食い下がる軍への回答として=続く大統領との軋轢

2022年7月19日

投票機(Antonio Augusto/TSE)
投票機(Antonio Augusto/TSE)

 選挙高裁は15日、最新の投票機のテストをサンパウロ総合大学(USP)の協力のもとで行うと発表した。ボルソナロ大統領と軍は根拠もなく投票結果への不信感を唱え続けており、投票機の信頼性に関する攻撃も後を絶たない。16日付現地紙などが報じている。
 選挙高裁によると、テストされる機器はUE2020という型のもので、ソフトウェア(機械のプログラミング)とハードウェア(機械本体)の双方で行うという。同高裁は5月にも投票機のテストを行っているが、UE2020型機は昨年12月に届けられたもので、テストを行うための許可が下りていなかった。テスト実施は8月になるという。
 この機種は軍がかねてから懸念を示していたものだ。前陸軍司令官のパウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相は14日、上院の選挙透明性委員会(CTE)の公聴会で選挙の投票集計への不安感を再び表明し、再度、投票機の公開テストの必要性を主張した。同国防相はこの発言の際に、下院が昨年却下した「印刷付電子投票(ヴォト・インプレッソ)」と同様に、電子投票と並行して紙での投票を行い、軍が集計することを提案し、物議を醸していた。
 今回の選挙高裁の判断は、CTEで行われた要請に部分的に応えたもので、USPの研究チームによるUE2020型機のテストを行うとしている。USPは昨年来、選挙高裁の技術面のコーディネイトを担当している。
 選挙高裁によると、旧型の投票機「UE2015」は既に、全ての機種でのテストが終了しており、一切問題はなく、ミスの危険性はなかったとの報告が出ている。
 軍側の一連の要請はボルソナロ大統領とのつながりで行われていることがかねてから指摘されているが、最高裁や選挙高裁と大統領の関係はなおも複雑なものが残っている。
 ボルソナロ大統領は18日、各国の大使たちと大統領官邸で「2014年と18年の選挙の安全性について」と題した会合を行ったが、選挙高裁のエジソン・ファキン長官はその招待を断っている。同長官は、「選挙への出馬を行う人物が行う会合に出席すると公平性の問題がある」からと説明している。
 ボルソナロ大統領はこのところファキン長官への批判を繰り返しており、今回の欠席表明後も「ファキン氏はまたも選挙に対する建設的な意見交換の機会を断った」とし、さらに「ルーラ氏を釈放したのもファキン氏だった」と発言している。
 だが、ラヴァ・ジャット作戦での収賄容疑で服役中だったルーラ氏を釈放したのは2019年の最高裁の全体投票であり、ファキン氏は2021年にルーラ氏のLJ裁判の結果を無効にした最高裁判事というのが正しい。
 この会合に参加しなかったのはファキン長官だけでなく、ルイス・フクス最高裁長官やウンベルト・マルチンス高等裁(STJ)長官、アナ・アラエス連邦会計検査院(TCU)長官など、主要な司法機関の長は軒並み欠席を決めている。


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