《ブラジル》ローザ判事の最高裁長官への就任承認=混沌の大統領選時に大役

最高裁は10日、ルイス・フクス現長官に代わる次期長官としてローザ・ウェベル判事が昇格することを承認した。9月12日からの就任となる。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
最高裁長官は全最高裁判事中、経験がより長い長官未経験者が担当することになっている。今回も慣例通り、ローザ判事が選出された。副長官はルイス・ロベルト・バローゾ判事となる。長官の任期は2年だが、ローザ氏は2023年10月に75歳で定年退職となるため、1年1カ月の任期となる。
ローザ氏は1948年にリオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレで生まれ、1976年に第4労働地域裁の代理判事として司法人生を始めた。1991年に同裁判事となり、2001〜03年に長官を務めた後、2004年に労働高等裁判事となった。最高裁に入ったのは2011年12月で、ジウマ大統領(当時)の指名を受け、就任した。
ローザ氏の最高裁審理で注目されたのは、2018年4月と2019年11月に行われたラヴァ・ジャット作戦でのルーラ元大統領の審理だ。この時は他の判事の投票傾向からほぼ互角と予想される状況下、ローザ氏の票の行方だけがわからず、彼女の1票が決定権を握っていた。前者ではローザ氏が「人身保護を認めない」と判断して、ルーラ氏は実刑に服すことになった。だが後者では「2審ではなく最高裁での有罪で実刑判決」と評価を改めたため、ルーラ氏が釈放されている。
ローザ氏は長官選出後、「民主主義が脅かされ、憲法の意義が問われる大変な時期での就任なので、心して臨みたい」と語った。就任期間中には10月の大統領選が含まれており、電子投票機による選挙制度を常に疑い、落選すればクーデターを起こす可能性も囁かれているボルソナロ大統領との正面からの対峙が予想されている。
ローザ氏はかねてから、ボルソナロ氏に対する訴訟でも厳しい態度をとることで知られている。