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《ブラジル》大統領が予算基本法を裁可=来年分は不確定要素多数=約束実現なら上限見直し

2022年8月12日

ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)
ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 ボルソナロ大統領が10日、来年度の連邦予算基本法(LDO)を裁可し、官報に掲載したと同日付現地サイトが報じた。
 LDOは連邦政府や地方自治体の予算編成のガイドラインで、複数年度で予算を策定する。来年度予算は8月中に議会に提出される。LDOは4月15日が提出期限で、議会が7月に承認後、大統領裁可を待っていた。
 来年度のLDOには最低賃金は1294レアルとする事や、来年のインフレは3・3%で国内総生産(GDP)は2・5%成長、経済基本金利(Selic)は10%といった見通しも含まれている。
 最賃額は今年の物価上昇は6・77%と想定している事を示すが、この額は予算案作成、審議時に修正され得る。その他の指数も想定の域を出ない。
 最高裁などが問題視している「秘密予算」はそのまま裁可された。秘密予算は予算案審議時の報告官の裁量で内容や支出額が決まり、法案を通したい時の票の売買に使われるなど、汚職の温床になりかねない。最近は一度決まった予算の配布先変更を認める法案も提出され、不透明さが増すと懸念されているが、大統領は同予算の存在を容認した。
 他方、今回の裁可では36カ所で拒否権が行使された。拒否権が行使された項目を維持するか否かは今後の議会審議で決まる。
 拒否権行使項目の一つは連邦警察や連邦道路警察、連邦刑務所職員、ブラジル諜報部などの治安関連の公務員給調整用予算だ。
 大統領は特定部門の優遇は諸機関間の不均衡を招き、政府の行動や政府や自治体の関連機関の間の調和の取れた行動における行政権のパフォーマンスを損ない得ると説明している。
 だが、治安部門も含む公務員給調整や生活扶助のアウシリオ・ブラジル支給額維持、所得税の課税基準変更、燃料関連の連邦税免除維持などの大統領の約束を来年度予算案に盛り込むには1427億レアル足りず、予算案はフィクションと化すといった記事はLDO裁可前から出ている。
 ゲデス経済相は公的負債の総額をGDPの何%までとするかを決める方が歳出上限法よりも実際的と言い出しており、賛同するアナリストも出始めているが、この件は議論さえされておらず、予算案作成は難航しそうだ。


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