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《ブラジル》後を絶たない女性への暴力=家庭内暴力や女性殺人が増加

2022年10月12日

女性に対する暴力に反対する事を示すマーク(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)
女性に対する暴力に反対する事を示すマーク(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 「女性に対する暴力と戦う日」の10月10日、家庭内暴力や女性殺人といった女性に対する暴力は依然として後を絶たない状況が続いていると同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 10月10日が「女性に対する暴力と戦う日」に定められたのは、1980年のこの日に、サンパウロ市の市立劇場前階段で、女性に対する暴力犯罪が増えている事に対する抗議活動が行われたためだ。
 以来42年間、女性に対する暴力行為や殺人未遂、女性殺人はより注目を集めるようになり、家庭内暴力防止のための「マリア・ダ・ペーニャ法」も定められた。しかし、女性への暴力は今も後を絶たない。
 一例は、リオ市西部のバングー地区で起きた事件で、週末に市外にでかけた夫婦が帰り道で喧嘩となり、妻が子供2人を連れて実家に帰ってしまったところ、軍警でもある夫が10日未明に妻の実家に侵入し、妻を殺害。残された子供の一人が警察に一部始終を語ったという。
 夫は釈放されたが、リオ州軍警は既に調書を作成済みで、監査局が事件の調査を行う事になっている。
 法務省によると、今年の場合、女性を殺したまたは暴行したという理由での全国の逮捕者は8月29日から9月27日までの間だけで1万2396人に達している。また、同期間中に警察に出された被害届は7万5525件。家庭内暴力や女性に対する犯罪行為を防ぐために出された接触禁止その他の防犯・保護措置は4万1600件に上った。
 リオ州の治安研究所(ISP)によると、同州では1~8月に女性殺人が73件、殺人未遂が185件登録されたという。2021年の1~8月は女性殺人が61件、殺人未遂が173件で、どちらも増えている。
 また、7月に発表された全国治安白書によると、2021年は家庭内暴力が前年比で0・6%増の23万861件に上り、脅迫は3・3%増の59万7623件起きている。
 家庭内暴力などの告発、相談に使われる190番通話は61万9353件で、前年より4%増えた。また、防犯・保護措置は13・6%増の37万209件施された。
 21年の女性殺人は1341件で、68・7%は18~44歳で、65・6%は自宅で殺されている。また。被害者の62%は黒人かパルド(褐色、黒人との混血)だった。また、女性殺人の場合、加害者の81・7%は夫や前夫、恋人や元恋人だった。
 21年はストーキングについての統計もとられており、2万7722件が登録された。精神的な暴行被害も390件の届出があったという。
 ボルソナロ大統領は現政権では女性に対する暴力は減ったと語っているが、実際には、新型コロナなどの要因も加わって、家庭内暴力、女性殺人、殺人未遂などが増加傾向にある事を示している。
 女性に対する暴力の摘発、相談は女性専用の警察署か、専用電話(180、190、197)で受け付けている。電話は無料で、24時間機能している。


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