ボルソナロ派、カトリック教会を標的に=神父批判、ミサ中断相次ぐ

【既報関連】統一選決選投票が間近になり、ルーラ氏支持者が多いとされるカトリック教会がボルソナロ大統領支持者達の過激な批判標的にされる事件が増えている。
サンパウロ州司教区大司教のオジロ・シェレル枢機卿は、赤い法衣を着用した事で、「赤は共産主義者の色だ」と同枢機卿が大統領選でルーラ氏を支持し、中絶も擁護しているとの予期せぬ批判に見舞われた。
12日のノッサ・セニョーラ・アパレシーダの日にサンパウロ州のアパレシーダ聖母大聖堂で行われたミサでは、オルランド・ブランデス司教が説教中に貧困の増加について触れると、大統領支持者達が野次を飛ばす場面が見られた。また、カミロ・ジュニオル神父が「今日は票を求める日ではない。神の祝福を求める日だ」と語ると聖堂外のボルソナロ支持者達から野次が飛んだ。
12日はミナス・ジェライス州コラソン・デ・ジェズス聖教会のゼズィーニョ神父が、選挙が終わるまでSNSへの投稿や応答は行わないとの意向を表明。教義に基づく説教や投稿に対しても攻撃や批判が絶えない上、法王を批判する人も出た事で、政治色が強まり、苛立っている人や、不満を抱えて爆発寸前の人が増えている事を懸念した上での決断だ。
また、パラナ州では武器を持った人が教会に乗り込むという事件が起きた。サンパウロ州ジャカレイでも、リオ市で殺害されたマリエレ・フランコ市議に言及した神父に対し、ボルソナロ派の人がよく使う表現を使って抗議し始めた女性がおり、ミサを中断させる事件が起きた。
ブラジル全国司教会議(CNBB)は、オルランド・ブランデス司教への野次などは、聖職者や大聖堂への敬意や繊細さに欠けた行為との見解を表明するなどして、選挙期間中に起きている一連の出来事への懸念や警告を発している。
ボルソナロ支持者の中からは、ルーラ氏は中絶に賛成で、当選すれば教会を閉鎖させるといった虚報を流す者がおり、ルーラ氏は福音派の間での支持率が伸び悩んでいる。ルーラ氏は19日、福音派の教会でキャンペーンを行い、「中絶には反対。信教の自由を犯す意思はない。まして、教会の閉鎖などあり得ない」と福音派向けの文書を発表した。
この日のキャンペーンには、ルーラ政権で環境相を務め、大統領候補にもなった事がある福音派のマリーナ・シルヴァ氏も参加し、ルーラ氏への支援を呼びかけた。