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政権移行PEC、上限枠外支出に代替案=バルボーザ元財相が提案=折衷案に市場は好感

2022年11月23日

バルボーザ氏(Valter Campanato/Agencia Brasil)
バルボーザ氏(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 「歳出上限を無視する」として市場の批判を集めていたルーラ次期政権の政権移行PEC(憲法補則案)に対し、元ジウマ政権の官僚で移行スタッフのネルソン・バルボーザ氏の出した「対象外支出を少なめに抑える」という代替案が注目を浴びている。22日付現地紙が報じている。

 歳出上限(テット)はテメル政権下の2016年に設けられた方式で、国際市場では好意的に受けとめられてきた。それ以前のルーラ、ジウマ両大統領の労働者党(PT)政権では歳出の出し惜しみを嫌い、見送られていたものだった。
 そこに加え、ボルソナロ大統領が選挙対策で、それまでは支給月額が200レアルに満たなかったPT政権時代の生活扶助の「ボルサ・ファミリア」を「アウシリオ・ブラジル」として600レアルに引き上げていた。ボルソナロ氏は再選された場合は23年1月からの支給額を405レアルとして予算案を立てていたが、かねてから福祉に力をいれるPTはそれを下げることを嫌い、ルーラ氏の任期の2026年までは600レアルの支給を行い、子ども手当を加えることにも固執。だが、これにこだわると、国の負担が大幅にかさむため、反発は大きかった。上院でも政権移行PECに対し、「600レアル支給は2023年しか支持できない」との意見が出されていた。
 そこで、移行スタッフのひとりで、第2期ジウマ政権(2015〜16年)に企画相と財相を務めたバルボーザ氏が代案を出した。それは、2023年の歳出上限枠外支出額を「1360億レアルまでに抑える」というものだ。
 この1360億レアルという数字の根拠は今年のボルソナロ政権の歳出見込みにある。現政権が作成した23年度予算案は「国内総生産(GDP)の17・6%」だが、今年の歳出はそれを1・3%ポイント上回る、GDPの18・9%で終わると予想されている。まさにその差額が1360億レアルなのだという。
 政権移行スタッフは先週、連邦議会に出したPECで、歳出上限枠外の歳出額を1980億レアルと試算していた。これが反発を受け、タッソ・ジェレイサッチ上議(民主社会党・PSDB)などがこの額を700〜800億レアルに抑えることはできないかとの提案を出していた。
 バルボーザ氏の案は議会側が望む1100〜1200億レアルの削減にはならないが、620億レアル下げた上、ボルソナロ政権最終年の歳出を引き合いに出しても現実的な数字ということになる。
 この影響で、21日のサンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は0・81%上昇し、ドルは1・18%下がって5・3101レアルとなった。翌22日は原油価格の変動の影響もあり、株価が下がり、ドルも上がったが、PECに関する市場の懸念はひとまず落ち着いている。


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